いい音 おすすめソフト

2018年12月25日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

オーディオ評論家の潮晴男氏と麻倉怜士氏が立ち上げたウルトラアート(UA)レコードの第二弾アルバム、ジャズピアニスト小川理子のBalluchon「バルーション」を紹介します。まず、演奏者の小川理子さんですが、ご存知の方も多いかと思いますが、本職はパナソニックの役員でTechnicsブランドの総帥としてオーディオ事業をリードしている方で、今年からは日本オーディオ協会の会長も務められています。つまり、日本のオーディオ界を引っ張るビジネスパーソンです。一方、アーティストとしては、3歳からピアノを始め、松下電器(現パナソニック)に入社後も既に14枚のアルバムをリリースしジャズピアニストとしての道も確実に歩まれ、まさにビジネスとアーティスト活動を両立されている方です。録音はポニーキャニオン代々木スタジオで行われ、Pyramics にて、384KHz サンプリング/32 ビットで録音されたとのことです。また、録音エンジニアはUAレコードの第一弾「エトレーヌ」と同じく、日本コロムビアの塩澤氏です。その音質はUAレコードのモットーでもある「オーバーダビング、編集なしの『ワンテイク録音』」「生成りの素直な音を得るためコンプレッションなどに頼らずにピュアにハイレゾ録音」の言葉通り、スピード感のあるフレッシュな音質に録られています。内容は第一弾同様、潮氏と麻倉氏がA/B面という形で6曲ずつそれぞれプロデュースし、A面はベテランリズムセクション、B面は若手メンバーがバックを固め、スイング感あふれるガーシュイン、エリントンというジャズの名曲からレノン&マッカートニーのLady Madonnaまで一曲目から終曲まで通して楽しめます。小川さんのピアノは盤石なテクニックの上に抜群のスイング感を持ち、例えばピアノソロで弾かれる6曲目のBut not for meは、とても魅力的で安定感のある演奏で、圧巻です。また、A面は随所で特徴的なソロをとるギターが、B面は正確且つ多彩なリズムを刻むドラムが小川さんの演奏を盛り上げています。最良の音質でスイング感あふれるジャズ演奏が楽しめるこのアルバムは、多くの方にお薦めしたい一枚です。

評:JAS