いい音 おすすめソフト

2018年12月7日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

ステレオサウンドからスーパーオーディオCDハイブリッドレイヤーディスクとして発売されたアン・バートンのアルバムを取り上げる。アン・バートンは1933年オランダ生まれのジャズシンガーだが、その穏やかで深みのある歌声とセンスある選曲は日本でも人気があり、1970年代から数回来日し国内録音も行なっている。また、当録音はCBS/EPIC制作とのことだが、移籍前のオランダ「artone」レーベルから発売の「BLUE BURTON」等も含め、彼女のアルバムは録音の良さが評価され、オーディオファンの間でも人気のあった歌手である。当アルバムも1971年録音ながら高音質にリマスタリングされている。ボーカルは中央前面にオンマイクで定位し、バックの各楽器も基本オンマイクでそれぞれの位置に定位良く配置され、バランスの良い小編成バンドの音場を作り出している。アン・バートンのじっくり聴かせるボーカルと、それぞれ左右に位置するギター、オルガンとの絶妙な掛け合いは素晴らしく、とてもフレッシュで生演奏を聴いているようである。アン・バートン自身によるという選曲も、ジャズにとらわれず、ビートルズ曲などもあり、スローテンポながら終曲迄飽きずに聴かせる。半世紀近く前のアルバムであるが、録音、内容ともに決して古さを感じさせることのない普遍的なボーカルアルバムとして、オーディオファンのみならず、多くの方に聴いていただきたいアルバムである。

評:JAS