2018年10月29日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
聴きどころ
ステレオサウンドから尾崎亜美のアルバムSA-CD化第二弾がリリースされます。先の二枚と同じくマスタリング作業はソニー・ミュージックスタジオ東京(乃木坂)、エンジニアは鈴木浩二氏。さっそく試聴レポートをお届けします。
アーティスト本人の全曲アレンジによる「Shot」を、プレーヤーにセットしながらライナーを読み進め、制作が内沼映二氏の手による録音と知りがぜん聴く気が沸いてきます。氏は藤圭子などのヒットナンバーを多く手掛けてきたスタジオ録音界の大御所で、カッコ良い音創りに定評あるエンジニアです。
全体を通して聴いて高橋真梨子や岩崎良美へ提供した4曲が含まれるためか耳なじみが良いアルバム。2曲目「ごめんねDarling」はオーバーダビングによる鈴木茂氏のギターカッティングやコーンセプション氏のSaxが効いた少しトリッキーさを感じる曲で、アルバムのアクセントになっています。オリジナル1981年のリリースはアナログLPレコードですからB面1曲目となる「It’s Easy If You Try」は、A面で聴いてきた楽曲イメージのオールクリアを主張するようなスリリングなサウンドで、英語歌詞にもチャレンジしています。ちょっと聴こえるグロッケンやコンガドラムのパーカッションをリズム感良く上手く鳴らしたいところ。続く3曲でアルバムカラーを決定付け、結びの楽曲になだれ込みます。クロージングナンバーに相応しい、絵巻物が、一つのショーが終わった後の余韻を漂わせる、とても印象に残るエンディングで、これはもう一度アルバムの頭から聴きたくなるアレンジです。
そしてジョージ・マッセンバーグ氏の録音「Air Kiss」は、アルバムをスーパーバイズした小原由夫氏によるプロダクションノートでも絶賛しているように、今回の尾崎亜美4タイトル中、最もSA-CDらしさが体現している仕上がりに。特に「Flash Back」での自身のボーカルとコーラスでの対比が、実に伸びのびと聴くことが出来て、さらにキーボードProphetによる温度感あるサウンドが全体を美しく支えており、聴き応えある作品に仕上がっています。
評:JAS