2018年3月29日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
聴きどころ
今回はタワーレコード企画盤『ヴィンテージSA-CDコレクション』の第10弾から3作品を取り上げる。まず1作目はカール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるモーツァルトの管楽器のための協奏曲集。アナログディスク(LP)4タイトルを3枚のSA-CD/CDにまとめたもので、マスタリングもオリジナルマスターテープから新たに行われ、SA-CD化も初とのことで好企画盤と言える。録音は1972年から1978年とカール・ベームの晩年のもので、ウィーン・フィルの名手たちをソリストに立てたこの協奏曲集は、バランスの取れた、明るく且つ滑らかな演奏で、なじみある旋律を新鮮に聞かせ、とても心地よいものとなっている。ソロ楽器が木管とホルン(ヴィーナーホルン)ということで、音質は柔らかく、オーケストラも室内楽的な鳴りで、弦はいわゆるウィーン・フィルのシルキータッチというより多少硬質感があり、滑らかなソロ楽器とのマッチングもとても良い。今から40年前の録音と言っても1970年代はアナログ録音が充実していた時期でもあり、楽曲にあった録音がされ、演奏の完成度を一層高めている。今回筆者は特に協奏交響曲でのホルン(ヴィーナーホルン)のその滑らかでふくよかで包み込むような音質に魅了された。古楽器的なホルンだが、まさにウィーン・フィルの音であり、モーツァルト音楽に欠かせない楽器と感じさせた。演奏、録音ともに素晴らしく、多くの方にお薦めしたい名演集である。
評:JAS