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2018年3月29日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

2作目はピアノの巨匠ヴィルヘルム・バックハウスによるベートーヴェン、ピアノ協奏曲全集。オーケストラはハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。1957-58年の録音であるが、ステレオ録音が始まり、パッケージメディアとしてのLPが普及した時代でもあり、世界に広まった名盤である。今から60年前の録音とは言え、その音質は全体に明るくメリハリのある好録音。ピアノも明るくクリアーで低域にも腰がありしっかりした音質。エコー感は少なく、ドライですがすがしい音響空間が再生される。当時のデッカの高音質録音技術 Full Frequency Range Recording (ffrr)のレベルの高さがうかがわれる。今回オリジナルマスターテープから新たにマスタリングされたとのことで、SA-CD化により録音当時の音質が充分に再現されたものと思われる。また、このピアノ協奏曲全集にはカップリングでベートーヴェンの序曲が3曲収録されているが、これらはもともと1965年から1969年に録音されたイッセルシュテット/ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集にカップリングされていたもので、昨年タワーレコードから発売された交響曲全集のSA-CD化の際に収録されていなかった楽曲。これらも素晴らしい演奏で、今回のピアノ協奏曲全集も、交響曲全集同様、LPで聞いていた愛好家の方々は勿論のこと、若いクラシックファンの方にも聞いていただきたい名盤である。

評:JAS