2018年3月29日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
聴きどころ
最後は、ピエール・モントゥー指揮、ロンドン交響楽団によるブラームス 交響曲第2番と序曲2曲。モントゥーは1875年パリに生まれた生粋のパリジャンの指揮者であるが、ライナーノートにもあるが、ジェローゾ四重奏団の一員としてブラームスの前で演奏し、その演奏を絶賛されたこともあり、それ以来こよなくブラームスを敬愛した指揮者とのこと。時代的に残された録音もモノラルが多いが、今回の録音はモントゥー最晩年の1962年(87歳)のステレオ録音で、オリジナルマスターテープから新たにマスタリングされ、SA-CD化は初とのことである。演奏は、何か特別な仕掛けがあるのではないが、丁寧で温かみがあり、音楽に包み込まれるような演奏で、盛り上がる終楽章も突っ走ることなく適度な緩急をもったテンポで進み、自然で豊かな余韻を持って終わる素晴らしい演奏である。録音も、弦が左右に大きく広がり、その背後にホルンをはじめとする管楽器がホール感を持って広がりとても自然な音場感が再現されている。各楽器は適度な響きを持ち分離よく奏でられている。演奏、録音ともに素晴らしい名演である。
評:JAS