いい音 おすすめソフト

2018年1月10日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

まさに新年早々素敵な贈り物が届きました。オーディオ評論家の潮晴男氏と麻倉怜士氏が立ち上げたウルトラアートレコードからの、記念すべきCD発売第一弾アルバムJAZZボーカル情家みえ「エトレーヌ」を紹介します。長年にわたるオーディオ評論歴のなかで、高音質音源の必要性重要性を説いてきた両氏の当然の帰結による作品で、録音制作にも非常なこだわりで挑んだ力作です。
ポニーキャニオンスタジオでの録音制作が両氏の創造性をより掻き立ててくれており、加えてレコーディングエンジニアにはハイレゾ録音の名手日本コロムビアの塩澤氏を、マスタリングにはポニーキャニオン能瀬氏を起用と、ライナーを見る限りこれ以上の布陣は考えられません。資料によるとマルチ収録のトラックアサインにドラムスに10トラックもおごるなど、完成させようとするサウンドの分離感確保に徹底的にこだわる姿勢が感じられます。プロツールズ192kHz/24bit PCMと2インチアナログによる24チャンネルマルチ収録に加え、DSD 11.2MHzでも収録音源全てをおさえるなど録音機器体制に万全を期しており、CD化に際してはPCMからのリミックス作業を経て44.1kHz/16bitマスタリングが施されています。
一切編集なしの緊張感みなぎる演奏といえども選曲がJAZZのスタンダードナンバーで聴きやすいのも好感で、潮氏がチョイスした30インチのキックドラムをフィーチャーした曲がハッとして光っていました。軽快なピアノサウンドと正確に刻まれたドラミング、その間を縫うように響くベース、それにのせて情家みえのファッショナブルな歌唱が展開されていく、オーディオサウンドチェックにも適した一枚です。

評:JAS