2017年10月30日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
聴きどころ
今回はタワーレコードのSA-CDシリーズの中から、日本コロムビアとのコラボによるドイツ「オイロディスク」レーベルの復刻第4弾の3作品を取り上げる。まず一作目はダヴィッド・オイストラフとパウル・バドゥラ=スコダによるモーツァルトのバイオリン・ソナタ集。ダヴィッド・オイストラフが亡くなる2年前の1972年の録音で、その演奏は今でも名盤に位置付けられる素晴らしいものである。録音はバイオリンとピアノというシンプルな構成ゆえ、今から45年前のアナログ録音とは言え十分な情報量が捉えられており、現在のハイレゾ録音に全く引けを取らないLive感のある優秀録音である。バイオリンは伸びやかで、時に明るく、時に重たく、素朴だが優美な音色で、ピアノはやや奥に定位し響きを抑えたピアノフォルテ的な音色で奏でられ、そのアンサンブルは温かみのある音質となり、いぶし銀のようなモーツァルトに仕上がっている。今は実演を聴くことのできない巨匠の名演奏が高品位な音質で聴けることは素晴らしく、多くの方にお薦めしたい名盤である。
評:JAS