いい音 おすすめソフト

2017年8月9日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

2作目はTV放送用にライブ録音されたミケランジェリ/ジュリーニ/ウィーン交響楽団によるベートーヴェンのピアノ協奏曲集である。ご存知の通りミケランジェリはキャンセル魔として知られており、そのミケランジェリのライブ録音ということで非常に貴重な録音である。演奏は指揮者、ピアニストともイタリア人で、ドイツ音楽はどうかという気もするが、一音一音正確に組み立てられた音楽は素晴らしく、とてもライブの「一発録り」の演奏とは思えない緻密なものである。録音は1979年で、HiFiオーディオも普及しアナログ録音技術も成熟期に入った時期であり、ライブ録音とは言え、高音質なものとなっている。ピアノは華やかな音質で、まさにミケランジェリのピアノである。オーケストラはピアノの後ろに重心低くバランスよく広がり、ピアノとの一体感のある落ち着いた音場を作り出している。第3番・終楽章、第5番・第2楽章等、随所で透明感のあるピアノと弦楽と管楽器の美しいハーモニーが奏でられている。カップリングで追加されている1971年録音のピアノソナタも、響は少なめだがクリアーな音色で、低音は力強くスケール感のある音像は安定感があり、好録音。SA-CD化により当時の音質が再現されているものと思う。

評:JAS