いい音 おすすめソフト

2015年12月18日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

オクタヴィア・レコードからの初のLP。小林研一郎(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームス交響曲第2番。演奏はすでにスーパーオーディオCDで発売されており、ご存知の方も多いと思うが、ゆったりとしたテンポの第1楽章と第2楽章は感情豊かな美しい演奏。第3楽章からテンポが多少早くなり、指揮者の唸り声とともに第4楽章はグイグイ引っ張ってゆく、小林研一郎ならではの演奏。今回、LPということで、カートリッジをいくつか用意し、また、スーパーオーディオCDとも比較試聴してみた。まずは日本代表デノン103。中域のエネルギーが多く、管楽器一つ一つ分離してよく聞こえ、メリハリのあるブラームス。次に、アメリカ代表シュアV15 TypeⅢ。重心が低く、音場が左右に綺麗に広がる。奥行き感もあり、自然なブラームス。もう一つは欧州代表オルトフォンSPU-GT。滑らかな音質。エネルギーが上下にスムースに分かれ心地よい。広がり豊かなブラームス。最後にスーパーオーディオCD(ステレオトラック)。まず、情報量の多さに驚く。それは音の立ち上がりの早さとともに、全ての楽器が均等に再現され、圧倒的な音質。良い意味での、さらけ出されたブラームス。少々特徴を持って各機材での音質を表現したが、情報量の多さのスーパーオーディオCDはスタジオでの音質を家庭で再現しているとも言え、ある意味究極のHi-Fiと言えるが、カートリッジで聞くミックスされた音はノスタルジーではない、心地よさを感じる。且つ、カートリッジ毎にその性格を楽しめることは本来のオーディオの楽しみであることは確かである。善し悪しではなく、LPの奥深さを楽しめる。ちなみに筆者の好みはSPU-GTであった。なお、カートリッジの比較は、アームはそれぞれ別、且つターンテーブルも異なり同一条件ではないことを断っておく。これも、アナログLP再生の楽しみである。

評:JAS