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2015年11月19日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

今月は日本オーディオ協会の法人会員でもある株式会社シンタックスジャパンが立ち上げた音楽レーベル”RME Premium Recordings”から新旧7作品を取り上げる。シンタックスジャパンはドイツRME製品の販売元であるシンタックスグループの日本法人であるが、そのシンタックスジャパンが、MADIと呼ばれる音声伝送技術をベースにしたRMEの録音機器を使ってコンパクトな機材で良質な音楽制作を行う為に立ち上げたレーベルがRME Premium Recordings である。RME Premium Recordingsの録音フォーマットは96kHz/24bit以上のハイレゾ録音であり、販売はe-onkyo musicからとなる。
さて、1作目は昨年の「日本プロ音楽録音賞」の「2chノンパッケージ」部門で 最優秀賞を受賞した「飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013」を取り上げる。演奏は飛騨地方に縁のある演奏家が中心に立ち上げたオーケストラであるが、さすが国内外で活躍するトッププレイヤーの集まりで演奏は素晴らしい。このオーケストラは指揮者を置かず演奏家同士で曲作りをするとのことで、アルバムに収録されている聞きなれたモーツァルトのクラリネット協奏曲でも随所に新鮮な響きを出している。プロコフィエフの古典交響曲も小編成オーケストラならではの緻密なアンサンブルとハーモニーを愉しめる。終曲の「飛騨山娘」では、日本ののどかな原風景が良く表現された、心和む好演奏である。録音はRME Premium Recordingsの基本理念「色付けのない透明無垢なサウンドで演奏会場の空気感さえも余すことなく録り込んだレコーディング作品を、録れたての音を産地直送さながらに余分な加工をせずにユーザーの再生環境へ届けること」の通りに、空気感あふれる自然な音場感を再生し、あたかもコンサート会場にいる気持ちになる好録音。音色は滑らかで、この滑らかさは特にモーツアルト作品では優雅さを引き出している。録音は2013年6月2日に高山市の飛騨・世界生活文化センター飛騨芸術堂で行われたライブ録音。観客の拍手からも演奏会の素晴らしさが伝わる。エンジニアは名古屋芸術大学の長江和哉氏。配信の際添付されるライナーノートには録音機材一覧と詳しいマイク配置の記載があり、オーディオマニアにはうれしい情報となっている。ハイレゾ配信により多くの人がこの作品を最良の状態で聴くことが出来るが、生演奏でこの飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラを聴ける飛騨の人たちをうらやましく思うのは筆者だけではないと思う。

評:JAS