いい音 おすすめソフト

2015年11月19日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

2作目は岩井のぞみが2014年4月25日に東京・紀尾井ホールで行ったソロピアノリサイタルの全曲収録アルバム。余談だか、ネットワークオーディオの良さのひとつにコンサート全曲収録とか、オペラとか、長時間の楽曲でもメディアの収録時間に制限されないこともあると思う。さて、岩井のぞみは4歳からピアノを始め、桐朋学園大学音楽学部を2009年に卒業後、研究科に在籍し渡米。現在もアメリカの音楽大学に在学中とのこと。また、日欧米の各地でのコンクールで受賞歴があり、今後の活躍が期待される若手ピアニスト。その演奏は、1曲目のバッハのイタリア協奏曲はスムースで軽快。一音一音しっかりとした若手らしい現代風な演奏。2曲目はメンデルスゾーンの無言歌集から7曲。馴染みのある「春の歌」も含まれている。演奏は緻密で、それぞれの楽曲に合った感情が込められている。また、とてもピアノの響きが美しい。リサイタル後半はドビッシーの「前奏曲集第1 巻」。流れるような大きなスケール感の中に様々な音色が奏でられ、まさに印象派、ゴッホの絵を見ているような様な感動を覚える。最後にアンコールが2曲演奏されるが、演奏会を成功させた安堵感か、感情豊かな演奏でコンサートの余韻に浸ることが出来る。ライブ録音であるが、アンコール曲の最後にのみ拍手が入っており、その拍手からも演奏会の素晴らしさが伝わってくる。録音の最大のポイントはハイレゾ録音の為に、周波数特性が100kHz まで伸びているサンケンのCO-100kを使用したことにあると思う。勿論それだけではなく、システム全体、マイキング等、すべてのバランスが重要と思うが、音の鮮度、響きが素晴らしい。何もストレスを感じない、つまりコンサート会場の最上席での試聴が味わえる。録音エンジニアは入交英雄氏で、ライナーノートには詳しいレコーディング情報の記載がある。演奏、録音共に素晴らしいアルバムである。

評:JAS