2015年11月19日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
聴きどころ
3作目は古楽アンサンブル・コントラポントの演奏によるモンテヴェルディ作曲「聖母の夕べの祈り」。2015年6月22日 カトリック関口教会 東京カテドラル 聖マリア大聖堂で行われた、結成10周年記念として開催された第20回定期演奏会でのライブ録音である。会場の東京カテドラル 聖マリア大聖堂は残響7秒との事で、所謂コンサートホールの音響環境とは異なるが、ルネサンス音楽からバロック音楽は教会音楽がベースであるから、本来の会場での演奏会となる。演奏もモンテヴェルディの時代の様式に忠実に行われたとの事であり、教会の長い残響が荘厳さを醸し出している。楽曲は、バッハのカンタータ同様、オルガン前・後奏、声楽ソロ及び合唱と古楽器による小編成管弦アンサンブル、リート伴奏、オルガン伴奏による声楽ソロ、グレゴリオ聖歌によるアンティフィナや祈祷など様々な演奏形態が交互に行われ、1時間半を超える長時間楽曲であるが楽しめる。録音は残響7秒からわかる通り、響き成分を多く含むが、決して共鳴音ではなく、演奏そのものをマスキングする物ではない。あくまで自然な響きでモンテヴェルディの音楽の一部であり、音楽性を高める重要な要素と思う。今回はステレオ版を試聴したが、3D-Height Surround版も用意されるとの事で、興味ある提案と思う。録音エンジニアは入交英雄氏。録音詳細はシンタックス社の下記サイトから参照できる。「聖母の夕べの祈り」はルネッサンス音楽の傑作でもあり、多くの人に聞いていただきたいアルバムである。
http://www.synthax.jp/user-artists/articles/contraponto.html
評:JAS