いい音 おすすめソフト

2015年10月8日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

今月はヴィーナスレコードから10月に発売されるスーパーオーディオCDシングルレイヤーアルバムから3作品を取り上げる。1作目は今年4月に録音され9月にCDが発売されたオーストラリア出身のベーシスト&ジャズシンガーのニッキ・パロットがドリス・デイのナンバーを取り上げたアルバム。先ずニッキ・パロットの温かみのある歌声は聞く人の耳を和ませ、その丁寧な歌い方はドリス・デイのストレートな歌い方に通じるものがあると好印象を持った。余談ではあるが、彼女の丁寧な歌い方は歌詞が良く聞き取れ英語の勉強になるかと思う。1曲目はスローテンポの感情のこもった曲、サックスとボーカルの掛け合いがぴったり合っており1曲目から彼女の世界に引き込まれる。スローテンポの曲が多いが3曲目はコールポーターの名曲Just one of those things等、アップテンポの曲では心地よくスイングする。また、ギターをバックに歌う5曲目、ピアノをバックにする9曲目は彼女の魅力をたっぷり楽しめる。タイトル曲の13曲目はボーカルを多重録音し、バックコーラスを自ら歌い、さらに雰囲気を出し、彼女のベースもフィーチャーされている。サポート陣は出過ぎず的確にボーカルをサポートし、特にサックス、クラリネット、フルートを曲ごとに楽曲に合わせ吹き分けるアンドリアン・カニングハムのサポートは素晴らしい。また、ギターのフランク・ヴィニョラも随所で素晴らしいソロを聴かせる。録音はボーカルがセンターに定位し、各楽器がボーカルを包み込むように広がり、全体としては彼女の歌声に合わせたWarm toneに仕上がっている。決してオーディオチェック的なシャープな音ではないがボーカルと楽曲の雰囲気にぴったり合っている。勿論、決してボケた音でなく、粒立ちのはっきりした高品質な音質である。ドリス・デイのヒット曲をカバーしているので当然曲にはずれはなく、最後まで楽しく聞くことが出来る。楽曲、音質共に、仕事の終わった後、リラックスして聞くには最高のアルバムである。

評:JAS