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2015年7月9日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

二作目はマーラー交響曲第9番。演奏はインバル指揮の東京都交響楽団。都響としてはインバルとの2回目となる新マーラーチクルスからのライブ演奏で、今回はワンポイント録音バージョンをとりあげる。指揮者のインバルは1980年代フランクフルト放送交響楽団とのマーラー演奏が有名で、都響も若杉弘、インバル(1回目)、ベルティーニとマーラーチクルスを行っており、インバル、都響共にマーラー演奏は定番と言える。従って、演奏は素晴らしくまさにマーラーを知りつくした両者による名演となっている。録音は前述の通りスポットマイクを使ったミックスバージョンではなくBK4006、2本によるワンポイント録音である。最近のアルバムにしては珍しく、江崎氏による「プロデューサーノート」とマイクアレンジ図と使用機材詳細が記載されているが、当然、マイクアレンジ図はマイク2本となっている。このワンポイントマイクが話題になったのはまさしく1985年10月10 – 11日のインバル/フランクフルト放送交響楽団によるフランクフルトアルテオーパーでのマーラー交響曲第4番の録音であった。その録音の数年かかってのアルテオーパーでのマイクロフォンの最適位置探しなどの準備は、現在当協会の諮問委員を務める穴澤健明氏が手がけ、氏によると「マーラーの中でも比較的編成の小さい4番でようやくベストポイントを探し出すことが出来た」との事であった。因みに1985年のアルテオーパーでの録音も今回と同じBK4006、2本である。
さて、今回の録音であるが、低音が重心低く豊かに広がり、その上に奥行き感を持って各楽器が定位し、ステージ感のある自然な音場を再現している。また、各楽器もマスキングされることなく、うまくミックスされ自然な響きとなり、この空間再現性が更に演奏の芸術性を高めている。まさに、名演奏、名録音である。試聴はスーパーオーディオCD層で行った。

評:JAS