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2015年8月8日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

今月はクラシック1作に加え、日本人プレーヤー参加のジャズ作品3作の計4作を取り上げる。

先ずはクラシックアルバム。7月度で取り上げた交響曲第9番に続き、インバル指揮 東京都交響楽団による新マーラーチクルスの終曲 交響曲第10番を取り上げる。交響曲第10番は「アダージョ」のみが演奏されることが多いが、ここでは1989年に発行されたテリック・クック補筆第2版にインバル自身によるいくつかの処置が施された全曲盤である。ライナーノートによると全曲盤は既に6種類ほどのCDが出ているとの事だが、筆者にとっては初めて聞く全曲盤である。構成はマーラー自身による楽譜がほぼ完成されていた「アダージョ」から始まり、大太鼓の断続的な演奏から始まるフィナーレまでの第5楽章であるが、死を予感させる第9番の次に来る、まさにマーラーが描いた死の世界を表現した交響曲の感がする。録音は第9番と同じくBK4006、2本によるワンポイント録音であり、プロデューサー 江崎氏とマエストロ インバルによる新マーラーチクルスの集大成と言える素晴らしい録音である。江崎氏によるプロデューサーノートでは、1985年のインバル/フランクフルト放送交響楽団によるマーラー交響曲第4番のワンポイントマイク録音にも触れられており興味深い。試聴はスーパーオーディオCD層で行った。

評:JAS