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2015年9月9日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

今月は日本の若きJAZZピアニスト・キーボーディスト宮川純のデビュー3作目となるアルバムを取り上げる。宮川純の演奏家としての才能はそのテクニック、音楽性から今回のアルバムにも余すとことなく発揮されているが、今回収録の9曲の内8曲がオリジナル曲で、その作編曲才能を発揮したアルバムでもある。4曲目のPulseは曲名通りパルス音をトラムとピアノで刻み、6曲目のAutomata(ゼンマイ仕掛けの人形)はベースとドラムで人形の動きを表し、その作編曲は楽しめる。黒田卓也(トランペット)がゲスト参加したタイトル曲のThe Wayと9曲目の30秒後に入っているシークレットトラックはインタープレイが素晴らしく「まさにJAZZ」と言う感じで気持ちいい。9曲目のJust a Momentはアップテンポのモダンな演奏。荻原亮のギターソロに始まり、続いて宮川純のピアノソロ、そして圧巻なのがそれらのソロの後ろで畳み掛ける石若駿のドラム。この背後のドラムはそのままソロになり曲を締めくくる。終曲としてとてもスリリングな曲に仕上がっている。録音は重心が低く且つ各楽器の切れがいい好録音。この重心低さは坂崎拓也の、時には軽快に、時には粘るようなアコースティックベース演奏によるところが多い。日本の若手Jazz artistによるオリジナリティーあふれた好アルバムである。

評:JAS