いい音 おすすめソフト

2018年9月25日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

聴きどころ

ステレオサウンドから80年代に日本のポピュラーミュージックを牽引していた尾崎亜美のアルバムがスーパーオーディオCDハイブリッドレイヤーディスクとして4タイトル企画されました。シンガーソングライターとして1976年に東芝EMIからデビューし活動歴は40年を超えていますが、杏里に提供した「オリビアを聴きながら」(1978年)などで彼女の名前は一躍トップに躍り出ます。
さっそく発売が先行している2枚を聴いてみました。共にキャニオンレコードに移籍後の作品で、ポップなサウンドに乗った歌声が持ち味のアルバム。洋邦問わず80年代ポップスやロックの音楽シーンでは最低音をキックドラム(バスドラム)が基本を固め、その上の帯域にエレキベースがうねりながら進行するサウンドが主流になっており、2枚も正しく王道。このサウンドバランスは現在のポップシーンに脈々と連なり、応答性の良いスピーカシステムで気持ち良く鳴らしたいポイントでもあります。「HOT BABY」はあのTOTOのメンバーも動員されてのロサンゼルス録音で、ウエストコーストサウンドのリズム感がピタっと合っている演奏に対峙しながら、少し緊張気味にそしてぐっと背伸びしているに違いない尾崎亜美のボーカル聴こえます。一方の「POINTS-2」はリリースした当時のツアーメンバーによるバック演奏によって、気のせいだけではなくリラックスしながら録音に臨んでいる彼女のボーカルを聴くことができます。どちらも尾崎亜美の歌声の実力を見せつけられますが、気合のロサンゼルス録音ではボーカルにエフェクターを載せるなどのチャレンジも取り入れられ、特に2枚の違いが際立っています。オリジナル発売のLPレコードを楽しんでいたポップスファンでも、DSD変換されたマスタリングによって新しい尾崎亜美の魅力を再発見することでしょう。
アルバムをスーパーバイズした小原由夫氏によるプロダクションノートの解説を参考にして、マスタリングスタジオで展開されていたであろうサウンドを想像しながら、2枚のアルバムを交互に聴きオーディオシステムを入念にチェックすることをお勧めします。

評:JAS