2025spring

個人会員に聞く!
第9回 大場敬一郎氏

インタビュアー 末永信一(専務理事)

今回の「個人会員に聞く!」も、とても若い個人会員です。そして放送開始100年を記念した号でもあるので、放送局にお勤めである大場敬一郎さんにインタビューをさせていただきました。

大場さんは、福岡のRKB毎日放送で放送されている「オーディオのじかん」というラジオ番組のディレクターをされています。私と初めてお会いしたのは、2023年の音の日(12/6)になりますが、「ぜひこの番組に出演してください!」と懇願され、2024年の最初の「オーディオのじかん」に日本オーディオ協会の紹介という旨で、出演させていただきました。

今回は、大場さんが日頃ご活躍されているRKB毎日放送のスタジオにて、インタビューを行わせていただきました。RKB毎日放送の皆さんの暖かい協力に感謝いたします。放送局のスタジオでインタビューなんて、なんと贅沢な!RKB毎日放送は、九州では初の民放局であり、全国でも4番目となる1951年の開局なので、ほぼ日本オーディオ協会と同じくらい長い歴史を持つ放送局なのであります。


RKB毎日放送

イントロダクション

末永)大場さんは、出身も福岡ですか?

大場)太宰府ですね。

末永)太宰府ですか、歴史のあるいい街だよね。

大場)さすが、末永さんも福岡の人だから、すぐに分かってもらえますね。最近だと、令和の由来で有名になりましたね。

末永)大宰府政庁跡に遠足で行ったり、太宰府天満宮に合格祈願のお参りに行ったり。

大場)そうでしょうね。


大宰府政庁跡(大陸との外交的窓口が置かれていた)

末永)私が福岡に住んでいたのは高校生までだから、中洲に詳しいでしょ?とか言われても、分からんとよ(笑)

大場)なるほどですね。

末永)昔、芸工大と言われていた、九州芸術工科大学、今は九州大学の芸術工学部になっていますが、その近くに実家があったんですよ。

大場)へぇ、そうなんですか。

末永)小さい頃に母親から、「近所に国立大学があるっちゃけん、あそこに行きなさい!」とよく言われたものですが、芸術のセンスもないし、その頃は芸工大って何を勉強するところなのかも分かってなくて…。

大場)別の大学に行かれたのですか。

末永)そう、その頃は将来コンピューターエンジニアになりたいと思っていたもので、電子工学の方に進みました。

大場)でも、ソニーでオーディオの仕事をされていたのですよね?

末永)そうなんだよね。巡り巡って50代でオーディオのマネジメントをすることになりましてね。そしたら、まわりに芸工大出身者がたくさんいてね(笑)

大場)そうでしょうね。RKBにも芸工大出身の方が何人もいらっしゃいます。

末永)やっぱり放送局にも芸工大出身の方はいるんだね。

大場)はい。

末永)昔、芸工大の近所に住んでいたという話をすると、そのうちに錯覚して芸工大の出身者だと思われたりして、ソニーの芸工大OB会に誘われたりしてね。人生何があるものか分からないものです。

大場)ははは、それはなかなかですね。オープンキャンパスの時に芸工大を見に行ったことありますが、あそこの施設はすごいですよね。

オーディオ協会入会のきっかけ

末永)大場さんは、2023年の9月の入会でしたね。きっかけがあったのですか?

大場)以前よりオーディオが好きで楽しんでいたのですが、2023年の秋からオーディオに関する番組を制作するってことになりまして、様々なオーディオの情報が欲しかったもので、調べていたらオーディオ協会に辿りつきまして…。

末永)そうなのですね。それが「オーディオのじかん」ですか?

大場)そうですね。

末永)入会していいこと、ありました?

大場)それはもう、末永さんを始め、オーディオに関わる方々とお知り合いになれて、出演していただくことも叶い、こんな素晴らしいコミュニティに参加できて、本当に良かったと思っています。

末永)2023年の音の日のイベントに早速来ていただいて、新年早々の「オーディオのじかん」に出演してくれないだろうかとね…。

大場)はい、無我夢中でお願いしちゃいました(笑)

末永)ラジオでオーディオ協会について紹介できるなんて、これはいい機会になるなぁと思って、すぐにOK!と返事をさせていただきました。

大場)とってもありがたかったです。

末永)私は福岡の出身なもので、中高生の頃、RKBはよく聴いていたし、公開スタジオに遊びに行っていたから、そんな放送局に出演できるなんて、ちょっと嬉しかったんだよね。せっかくなので、「オーディオのじかん」について紹介しましょうよ。

大場)今は、サブスクとか気軽に音楽に触れられる時代ではありますが、レコードの味わいを大切にされていたり、往年の名機を大事にされていたりするオーディオファンがまだまだたくさんいらっしゃいます。また、RKBにはたくさんのレコードが残っているんですよね。

末永)なるほど、そうでしょうね。

大場)それで、ヴィンテージオーディオを使用した音楽のオンエアをしたり、オーディオ機器の話題であったり、オーディオにこだわっているお店の紹介だったりという番組をやっております。

末永)どんな感じで番組をやっているんですか?

大場)担当されている坂田周大アナウンサーが、これまたオーディオが大好きな方でして、毎回楽しく企画を一緒に検討してもらっています。

末永)ああ、坂田アナウンサーも、オーディオが大好きとおっしゃっていましたね。番組が始まって、どれくらい経つんですか?

大場)1年半ってところです。


末永が「オーディオのじかん」に出演した際の坂田アナとの記念写真

番組を始めてからの変化

末永)番組を始めて、大場さん自身に何か変化とか、ありましたか?

大場)これまで実家暮らしだったのですが、もうすぐ一人暮らしを始めることになりまして。

末永)それはおめでとうございます。

大場)部屋ごとに違うスピーカーが置けるようなところに住みたいな!とずーっと思ってて、それがこれまでの目標だったんですが…。

末永)ほお!

大場)安く一軒家を借りられることになったので、それぞれの部屋を歌謡曲用のオーディオとジャズ用のオーディオとを分けた生活が始まるんです。

末永)すげぇ~~!な~に、それ!?

大場)ええ、楽しみなんです。

末永)そんなに好きなんだ!

大場)ええ、好きですね。

末永)ああ、そお!

大場)なかなか実家暮らしじゃ、好きなように音を出して聴けなかったのが、これからは自由になるので、ほんと楽しみです。

末永)レベルが違う話だけど、家でもヘッドホンで聴くという人もいるみたいで、隣の家に迷惑になるほど大きな音を出すのはもちろんダメだけど、家では音を絞ってでも、やっぱりスピーカーでゆったりと聴きたいよね。

大場)そうですよね。

末永)ちなみに、どういうシステムを?

大場)いろいろです。オークションで落として揃えたり、ですね。

末永)へ~。

大場)50CA10という真空管を使ったLUXMANのMQ-68Cがお気に入りですね。

末永)ほお、それはまた。

大場)だんぜん真空管アンプが好きなんです。

末永)若いのに、その面白さにハマっちゃったんだ。

大場)「オーディオのじかん」をやりだしたら、ほんとすごいオーディオファンの方々から色んなことを教えていただけると言いますか。

末永)おお、なるほど!ますます濃い情報が入ってくるわけですね。

大場)ええ、ますます濃いオーディオを知るようになりました。今、自分でも真空管アンプが作れるように、教えてもらったりしているんです。

末永)素晴らしいですね!

オーディオとの出会い

末永)今、何歳でしたっけ?

大場)23です。

末永)23??まだそんなに若いんだ!それじゃ古い話を聞こうと思っても、全然古くないかもしれないけど(笑)、いつ頃から、オーディオが好きだなぁと思ったのか、聞かせてもらえますか?やっぱりお父さんが好きだったとか?

大場)両親はそうでもないのですが、祖父がオーディオ好きだったそうで、その祖父は私が小さい時に亡くなりまして、祖父が大事にしていたオーディオシステムが家のリビングに来たんです。

末永)ふむふむ。

大場)それでレコードを聴いたりしていたんですが、初めてビートルズの「恋のアドバイス(You’re Going to Lose That Girl)」を聴きまして、ギターソロに鳥肌が立ったというか、なんじゃこりゃ!という衝撃があったんです。

末永)ほお。

大場)なんか、うわッ!となって、スピーカーってこんな音が出るんだ!と思ったのが、オーディオが好きになった原点ですかね。

末永)今の自分にとっても、その時の衝撃が影響している感じかな?

大場)そうですね、今でも新しい機器を買ったりした際には「恋のアドバイス」をまず聴いてみますね。

末永)おお、なるほどね!

大場)影響していると言えば、そういう感じですかね。

末永)それが小学校の何年生なの?

大場)2年生だと思います。

末永)小学校の2年生でビートルズ!?桁違いに早熟だなぁ!(笑)

大場)その頃は、ビートルズとか知らずに、聴いていた感じですね。

末永)私も、ある意味ビートルズからスタートしたみたいなものだけど、中学に入学する頃でしたよ。

大場)子供ですから、レコードの扱いなんかも酷いものだったと思います。

末永)私が物心ついた頃にはビートルズは解散していて、私よりも10歳以上、上の人たちはビートルズが活動していた時代を知っている世代なんだけどね。私には10歳年上の従姉妹がいて、ビートルズくらい聴かなきゃダメよ!と教えられてね。それで聴いて、やっぱり衝撃が走ったわけ。

大場)やっぱり、そうなんですね。

末永)はーちゃんって言うんだけど、はーちゃんのおかげで今の自分があるようなものですよ。はーちゃんも、もう、すっかりおばあちゃんになっちゃって、今でもビートルズを聴く?と聞いたら、最近は聴かないと言ってたけど(笑)

大場)どの曲が好きですか?

末永)どれも好きだけど、「And I Love Her」みたいな、初期の作品が好きかな。ちょっと渋いかな…。

大場)いいですよねぇ。レコードはどの辺で買ってましたか?

末永)あああ、昔はねぇ、繁華街に行かなくても、ちょっとした駅前なんかには本屋さんやレコード屋さんってものがあったんだよね。

大場)レコード屋さん?

末永)あ、レコード屋さんって言葉も死語か(笑)。あとね、当時怪しい商売って雰囲気だったけど、輸入レコード屋ってものがあって、値段が安かったの。そんなところで買ってたけど、そのうち、レンタルなんかが始まったからなのか、見なくなったね。

大場)へえ、まったく知らない話で面白いです。

末永)そもそも昔はね、ビートルズなんか聴くのは、不良だと言われていた時代があってね。だからビートルズを聴いていると母親に怒られてさ。なんでこんないい曲が…と怒られる理由が分からなかったから、はーちゃんに相談したら、男の子なんだからお母さんの言うことをなんでも素直に聞いてちゃダメ!とか言われて、女の人ってすごいなと驚いたのを覚えてるよ(笑)

オーディオは捨てられなかった

大場)小学生だったし、まわりの友達と話が合わないし、すごく悩んだことがありました。むちゃくちゃオーディオが嫌になったこともあるんです。

末永)そうか…。

大場)それでオーディオは捨てて、みんなと同じゲームの方に行こうかとしたんです。でもやっぱりオーディオは捨てられなかったんですね。

末永)そうなんだ。いや~、ドラマですね。

大場)でも、あの時、オーディオを捨てなくて良かったです。

末永)昔は、街のちっちゃな電気屋さんってものがあってね、そこにオーディオ製品なんかも置いてあって、それを見に行くと、優しいおじさんが近寄ってきて、こういうの好きかい?と色々と触らせてくれたり教えてくれたりしたものなんだよね。

大場)そういう経験はないですね。

末永)最近は、そういう優しくオーディオ談義に付き合ってくれる人も少ないから、音の日なんか、たくさんオーディオ好きがいて、楽しかったんじゃない?

大場)はい、幸せでした。

末永)私のことを一所懸命探してくれて、挨拶してくれてね。ありがとうございました。

大場)それこそ、優しく話をしていただいて、ほんと嬉しかったです。

末永)君塚さんにも「オーディオのじかん」に出演してもらったんだよね?

大場)はい、私が昔使っていたカセットデッキを作られた方だということで、その音がすごく好きだったもので、ほんとに製作秘話とか語っていただいて、個人的にもめちゃくちゃ嬉しかったです。

末永)ああ、そお。それは良かったですね。

大場)なかなか福岡では情報が少ないので、音の日のパーティーで色んな方と出会えてお話させていただけるだけでなく、その後もメールもさせていただけて、ほんとありがたいです。

末永)単なる出会いだけなら、その場の楽しさだけで終わるだろうけど、大場さんの持つ人柄とかオーディオ愛を感じたからとかだと思いますよ。

大場)ありがとうございます。

自分で買ったオーディオの思い出

末永)自分で買ったオーディオの思い出とかありますか?

大場)小学校を卒業する時に、それまで親がお年玉を貯めててくれて、それを全部渡してくれたんです。その時にJBL 4312というコーンが白いスピーカーがあるんですが、カッコいいなぁと見た目から入りましたが、音も好きで、金額見たら、なんとか買える!となりまして。

末永)それはなかなかの買い物をしましたね。

大場)これを家で聴くようになりましたら、それまでリサイクルショップで手が届くオーディオ製品を買ったりしていたんですが、いいものはやっぱりすごいなぁ!となりまして、オークションサイトの中古オーディオなんかにも興味を持つようになりました。

末永)まさに扉が開いたんだね。

大場)そうですね。

末永)私は大場さんの3倍くらい歳が上だけど、きっとオーディオのどこが好きか?ということを語り合うと、同じところに魅力を感じていると思うんですよ。

大場)いろいろと教えてもらうことばかりです。

末永)いやいや、遠慮せずにその魅力を同世代の人たちに伝えていってくれると、私たちおじさんは嬉しいのよ。

大場)確かに、友達を家に呼んで聴かせると、すごく感動してくれるんですよ。Bluetoothのスピーカーでは満足できなくなって、コンポを買った人もいます。

末永)いい音を聴くチャンスがあると、分かってもらえるものなんだよね。

大場)やっぱり、ヘッドホンとは違うね!という人も多いです。

末永)両方のいいところを自然と分かってくれたらいいんですけどね。

大場)最近は、レコードイベントも多いですが、若い人もたくさん来ていますよ。

末永)そうなんだよね。オーディオに人が群がってくることが、自然なことのようになって欲しいなぁと思っています。ぜひ「オーディオのじかん」も、オールドファンが喜ぶばかりの番組にしないで、大場さんの力で、男女問わず若い人たちも引き寄せて欲しいなぁ。

大場)はい、頑張ります。

放送局に勤めることになったきっかけ

末永)やっぱり放送局に勤めたいという夢を持っていたのですか?

大場)そうですね。専門学校に通いつつ、RKBでバイトしていたんですが、そんな流れでRKB毎日放送グループの制作会社(RKB CINC)に入社しました。

末永)おおお、RKBの方々にちゃんと実力を見極められたんですね。

大場)バイトしていた頃に、「シン・クウカンノセカイ」という番組を作りまして、これにハガキがけっこう来まして、上の方々に認識されて、認められたという感じではあったんです。

末永)へー、すごいじゃないですか!じゃあ、これがまさに「オーディオのじかん」の前身になったわけだ。

大場)はい、そういうことです。

末永)「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるけど、大場さんの好きなことが、的確に人生も切り開いてくれたわけですね!

大場)そうなんですかね。本来は「マスター」といわれる施設の管理をする仕事に憧れていました。

末永)ほおほお。

大場)今はラジオのディレクターとしてやっていますが、いずれはマスターの仕事をしたいなぁと思っています。機器の知識もないと出来ない仕事ですが、自分でスタジオを作ったり、調整したりといったことをやっていきたいんです。

末永)しっかりと夢を描けているのは素晴らしいですね!何番組くらい担当しているんですか?

大場)11ですかね。

末永)けっこうな数だね!

大場)「オーディオのじかん」だけってわけにはいかなくて。

末永)そりゃそうだよね。

大場)「オーディオのじかん」は、休みの日に情報を取りに行くなど、まあ趣味を兼ねているんで、これは担当させてもらって良かったなぁと思っています。

末永)そうか、それは幸せだ!

大場)はい!(満面の笑顔)

末永)ところで、RKBの自社制作番組って、どれくらいの比率なんですか?

大場)70%くらいで、割と地方局にあっては、この比率が高い方だと聞いています。

末永)おお、そんなにあるんですね。中高生の頃、よくラジオを聴いていて、楽しませてもらいましたが、番組の名前とかまったく憶えてなくて、すみません。

放送局の仕事

末永)最近、頑張っていることとか、ありますか?

大場)昭和の日(4月29日)に、生放送5時間を担当することになって、RKBのZ世代全員で昭和歌謡の番組を作っていこうとしています。

末永)ああ、そお!!

大場)昭和歌謡が好きな20代前半の若者が集まってやることになったんです。

末永)シティ・ポップが流行しているとは聞くけど、昔の音楽に惹かれる若者も多いんだね。

大場)はい、頑張ってやります。

末永)ちなみに、大場さんは誰が好きなの?

大場)アイドルで言うと、香坂みゆきとか…。

末永)あああ、人気があったね。

大場)西田佐知子とか弘田三枝子とか。

末永)お~、昭和といっても、ずいぶん幅が広いですなぁ(笑)

大場)いろいろ…。

末永)オーディオが好きだというのが根底にあって、ラジオのディレクターをやっていると、何か自分の強みを出せたりするんじゃないかと思いますが、いかがですか?

大場)編集なんかをやっていても、真空管風のコンプを掛けてみたり、ちょっと厚みのある音にしたいとか、マイクも番組毎に変えてみようとこだわったり、いろいろありますね。

末永)こだわりまくりですね!

大場)昭和の日には、レコード、カセット、CDの聴き比べなんかもやってみたいと思っています。音の違いを分かってもらいたくて。

末永)めちゃ面白そう!

大場)頑張ります。

末永)見せていただける範囲でいいので、局内を見学させてもらえますか?

大場)実は先ほどから話をしているここの部屋は、「オーディオのじかん」の収録に使っているDスタジオなんです。末永さんが今座られている椅子に、いつも坂田アナウンサーが座ってしゃべっておられます。

末永)おお、それは光栄ですなぁ。マイクオン!気分が上がりますなぁ。

大場)私は収録時には、こちらのサブルームにいます。

末永)昔、こういうフェーダーを上げ下げしている人に憧れたんだよね~。

大場)私も高校生の頃に見学させてもらって、こういう仕事がしたいと思いました。

末永)いいですね。夢が現実になったんだね。では、少しシステムの説明をしてもらえますか?

大場)ここの部屋にはSTUDERの卓が入っています。いろんな入力を、これらを上げ下げすることで切り替えています。

末永)収録したデータはどこに入るのですか?

大場)こちらのラックにストレージがありまして、そこに納められます。

末永)音楽は、事前にこの中に入れておいたりするのですか??

大場)サーバーにリッピングしたデータもあったりしますが、CDやレコードのメディア庫があります。

末永)すごい量なんだろうね。

大場)数万枚あるようです。

末永)わお!

大場)探すのも、大変です(笑)

末永)ミーハーになっちゃいますが、いつもやっている様子を写真にしたいので、ちょっとキューを出してくださいな。

大場)こんな感じですかね!

末永)かっこいいねぇ。

大場)そうですか?ま、こんな感じですね。

末永)キューを出す瞬間って、緊張したりしない?

大場)これがですね、音楽の再生中にアナウンサーの喋りが入ることってあるじゃないですか。AM局とFM局では、タイミングの違いがあったりして、そういうことを知ったら、いろんなスタイルがあるんだなぁと、まだまだ勉強中です。

末永)なるほどね。気が付かないところで皆さん、いろんな工夫をされているんですね。

大場)生放送では、それこそタイミング的な失敗ができないので、ポン出しなんかもやりやすいような機材がスタジオに置かれています。

末永)ほお!CM前のジングルなんかですね。

大場)RKBには、ラジオ用のスタジオは4つありまして、収録をするスタジオが2つ、生放送をするスタジオが2つですね。Dスタは、ピアノが置いてあったりして、楽器演奏の収録もできる少し広いめの部屋になります。隣は今、収録作業をしているので、お見せできないですが、ここより小さな部屋になります。

末永)なるほど、用途で使い分けているんですね。

大場)あと、生放送のスタジオは、玄関入ったすぐ脇にガラス張りのスタジオがありますが、あそこと、主にソフトバングホークスの野球中継をやる部屋とがあります。

末永)あ、入り口のところにスタジオあったね!高校生の頃に、好きなタレントがゲストに来るって日は、よく見学に来ていたので、あの雰囲気が懐かしいなぁと思ったなぁ。

大場)はい、今もそういう学生さんや若い女性を時々見掛けます。

末永)そうですか。ところで、野球中継は球場にアナウンサーと解説の人が行ってやってるんじゃないの?

大場)もちろん、球場内に実況席があるのですが、CMとの切り替えやジングルのポン出しなんかは、局内のスタジオでやります。試合の状況が分かるように、テレビモニターがあります。

末永)確かに、球場にすべての放送機材を持ち込むのは大変だよね。

大場)はい。

末永)ところで、ソフトバンクホークスの試合は、どれくらい中継しているの?

大場)ほぼ全試合です。

末永)えええ、ほぼ全試合??

大場)そうです。

末永)テレビの野球中継がほとんどなくなったから、ラジオの野球中継を楽しみにしておられる方も多いんだね。

大場)そうですね。

末永)そう言えば、私が「オーディオのじかん」に出演した時に、レコードを再生していただいたじゃないですか。思い出に残っている曲をリクエストしましたが、こちらのレコードプレーヤーで再生したのかしら?

大場)はい、そうですよ。ちょっと再生してみましょうか?

末永)せっかくだから、お願いします。

末永)入口脇のスタジオにも、同じレコードプレーヤーがありましたね。

大場)はい、リスナーのリクエストに応えられるようになっています。

末永)おおお、じゃあリクエストが入ると、ADさんが倉庫まで走るんだ!

大場)そうですね(笑)。でも、CDの場合は、メディア庫にCDプレーヤーが置いてあって、そこで再生すると、スタジオと結ばれているので、走らなくても電話して〇〇を再生して!と頼むと、再生できるようになっています。

末永)こちらの建物は何年に出来たんですか?

大場)1996年だそうです。

末永)昔は、RKBは渡辺通にあったんだけど、じゃあ、もう移転して30年くらいになるんですね。私が高校生の頃は、この辺は海だったんだよね。高校がこの近くにあってね、いつも海を見てボーっとしてたな(笑)

オーディオ協会に期待すること

末永)最後に、オーディオ協会でやって欲しいこととかありますか?

大場)あんまりオーディオ協会というものをちゃんと理解してなくて入会したものですから、何をやって欲しいというのはないのですが、いいなと思うのは、やっぱり色んな人との出会いがあったり、会話出来たりすることですかね。

末永)そこに期待している人は多いですね。

大場)すごい人がいっぱいいらっしゃいますもんね。

末永)じゃあ、番組に出てくれそうな方をまた探しておきますね!

大場)今年はOTOTENにも行かせていただこうと思っていますので、よろしくお願いします。

末永)今、OTOTENは、あなた方のように若い人たちにオーディオが好きになってもらいたいと色々と頑張っているところなので、気付きがあったら、なんでも言ってね!

大場)初めて参加させてもらうので、ウキウキしています。会場が東京国際フォーラムですよね?すごいですよね!

末永)東京国際フォーラムは、きれいな会場なんだけど、若い人には敷居が高いとか言われて、これをなんとかしたいと思っているところなんですよね。

大場)昔は末永さんがおっしゃっていたように、ちょっとした電気店でオーディオと出会えたというのもあったかもしれないのですが、今はちゃんと聴ける店もなければ、入りにくいお店が多くて、金額も高いし、これじゃオーディオにハマる人がなかなか出て来ないですね。

末永)そうなんだよね。まるで別世界のことと思われてしまっているのが残念なんですよ。

大場)それだけに、オーディオ協会がやっているOTOTENというイベントには興味があるんです。きっとすごいんだろうなぁ!と。

末永)きっと、気に入ってもらえると思いますし、楽しみにしていてください。

大場)ありがとうございます。

末永)やっぱりオーディオが好きな人に悪い人はいないと言うか、今日は話しててすごく楽しかったです。

大場)いえいえ、こちらこそ。これからも色んなこと、教えてください。

末永)はい、福岡にも時々来ますから、ぜひまたお会いしましょう!今日はありがとうございました。

最後に

日本でラジオ放送が始まって100年。私はそのうちの半分くらいしか知りませんが、ラジオは私の若い頃のエンタテインメントであったことは間違いなく、今回、その地元の放送局を訪ねることができたのは、本当にうれしい体験となりました。

大場さんにインタビューさせていただき、オーディオが本当に好きな人なんだとしっかり確認ができ、またこの若いディレクターさんが、オーディオにこだわった番組をやってくれていることに、心から応援したいと思いました。これからの100年も明るいと感じました。

今号のJASジャーナルは、放送開始100年を祝う号として様々な方々にご協力をいただきました。この場を借りまして、謹んで感謝申し上げます。

個人会員プロフィール

大場敬一郎(おおば けいいちろう)
2002年、太宰府市生まれ
2023年、株式会社RKB CINC入社
趣味はオーディオ、カメラ、バイク

筆者プロフィール

末永信一(すえなが しんいち)
1960年、福岡市生まれ
2019年、ソニー株式会社退社
2020年6月より、日本オーディオ協会専務理事に就任