日本オーディオ協会 創立70周年記念号2022autumn

『立体音響、飛躍の10年』
私が思うエポックな立体音響作品10作

選 熊谷邦洋(ヤマハ)

進化した音響を楽しみたい作品と、衝撃を受けた体験&作品から選んだ

Title1 『スター・ウォーズ』シリーズ(Fox/Disney) VHS、LD、DVDビデオ、BD(写真)、UHDブルーレイ

Title2 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(New Line Cinema) DVD、BD、UHDブルーレイ(写真)

Title3 『ハリー・ポッター』シリーズ(Warner Bros.) DVD、BD、UHDブルーレイ(写真)

Title1/2/3は、「2chステレオからマルチチャンネル」、「VHS、レーザーディスクからDVD」、「マルチチャンネルからロスレスオーディオ(DVDからブルーレイ)」、そして「ロスレスオーディオから立体音響」のように発展、作り直しが行われている名作たち。そのような作品は、同じ内容であっても違う再生方法を楽しみたい、楽しめる、そんな魅力を持っているのだと思います。自分でも、2種類、3種類のパッケージを持っていたりすることもあるので、時代に残る作品としてチョイスしました。

Title4 『Hell Freezes Over/Eagles』(Geffen/DTS) DTS-CD DTS5.1ch

Title5 『アビイ・ロード 50周年記念 スーパー・デラックス・エディション/ビートルズ』(Apple Records) 3CD+BDオーディオ ドルビーアトモスほか

Title6 『SOUVENIR/Trondheimsolistene』(2L) BDオーディオ Auro-3Dほか

Title4/5/6の3作品は、音楽を立体音響で楽しむためには、「旧作品をどのようにして立体化していくのか」、「最初から録音をそのようにしているものを楽しむ」、の二通りあると思います。音楽の楽しみ方がこれからさらに広まっていくことを期待しつつ、マルチチャンネル化、立体音響化へと早期に対応した作品への敬意を表しつつ、自分の趣味も入れて選択しました。

Title7 『ダークナイト』(Warner) BD DTS-HDMA5.1ch

Title8 『モンスターズインク』(Pixar) DVDビデオ ドルビーデジタルEX6.1ch

Title7/8は、自分でも購入して楽しんだ作品。Title7は普段の趣味からは外れていますが、つい購入してしまった作品。Title8は、家に組んだこぢんまりしたホームシアターシステムで、あぁ組んでよかった、と思わせてくれた作品。本作のようなタイトルを楽しむために、ホームシアターを使う人が増えてほしいと思います。

Title9 『Auro-3D Demo Contents』 ※AES 2010 Spatial Audio International Conferenceでの再生コンテンツ

Title10 『パシフィック・リム』(Legendary Pictures)※TOHOシネマズららぽーと船橋スクリーン10でのドルビーアトモス音響上映

Title9/10は、いま言われている「立体音響」を<初めて体験>した作品、コンテンツ。これらが与えた衝撃は大きかったので、作品というよりは再生系も含めてとなり、少々反則かもしれませんが、ここに挙げています。

Title9は、オーディオ研究学会「AES 2010 Spatial Audio International Conference」で体験したものです。音だけの再生だったのに、バイクに轢かれそうになって首をすくめる経験は忘れられません。

Title10は、日本初のドルビーアトモススクリーン「TOHOシネマズららぽーと船橋」スクリーン4での再生。このドルビーアトモス音響はもっといい席の位置で見れば良かったという後悔と共にその衝撃が残っています。

執筆者プロフィール

熊谷邦洋(くまがい くにひろ)
ヤマハ株式会社 音響事業本部 ホームオーディオ事業部 AC開発部 ソフトグループ 主幹
1972年、神奈川県生まれ。東北大学卒。カーオーディオメーカーを経て、2001年、ヤマハに参画。AVアンプの自動音場設定機能(YPAO)の開発に携わるデジタルソフトウェアのスペシャリスト。現在はAVアンプのモデル責任者としても活躍し、最新モデルRX-A8A/6A/4Aは、生産開始後は氏の担当となっている。