- JASホーム
- JASジャーナル
- JASジャーナル2025年夏号
- OTOTEN2025を終えて
JASジャーナル目次
2025summer
OTOTEN2025を終えて
一般社団法人日本オーディオ協会 会長 小川理子
毎日暑い日が続いておりますが、皆様方におかれましてはお変わりございませんか。
さて、OTOTEN2025は、前年比140%の8650名の来場者をお迎えして、無事に終了いたしました。これもひとえに、出展企業の皆様方、ご関係の皆様方のご支援ご協力のおかげと、心より感謝しております。また、ここ3年間、オーディオ業界活性化のために重要アジェンダとして推進してきました若年層の来場者比率向上につきましても、今回は39歳以下の来場者比率が43%となり、大幅に目標値を超えて達成することができました。
そして、台湾や中国など海外の企業が多数出展くださり、リアルに交流させていただきながら、今後のオーディオ協会の活動の国際化にも繋げることができました。VTuberのAZKiさんとのコラボ、女性キャスターを採用したポッドキャスト配信は2年続けて、OTOTENの多様性を開花させ、AES日本学生支部のメンバーも活躍した学生コラボも定着し、音楽に関わるコンテンツ制作の上流から下流まで、展示ブースに関心が寄せられ、従来のオーディオの枠を大きく超えて、その可能性を見出すことができました。
特筆すべきは、日本のラジオ放送開始100年を記念して、NHK様、日本コロムビア様の絶大なるご協力のもと、放送開始当初のラジオ、マイク、それにモニタースピーカーのカットモデルなどの貴重な放送機器をお借りし展示されたこと。世界初のPCMデジタル録音機の再生デモが実施されるなど、歴史的な展示をさせていただいたことです。同室では、NHK放送技術研究所から未来の放送の紹介もされ、世代を越えて、時代を越えて、歴史を振り返りつつ、未来のオーディオの展望にも思いめぐらせる絶好の機会になったことと思います。
7階のイベント・セミナールームでは、今年も超高級オーディオシステムを各社様からご提供いただき、迫力あり、実在感あり、そして感動ある音を再生することができました。中でも、カセットテープを聞かせてもらったときの驚きは、言葉にできないほどでした。私の日常からすっかり姿を消していたカセットテープが、これほどまでに、活き活きと蘇り、もっと言えば、カセットテープをこんなに凄い機材で聴いたこともなく、何という音の存在感か!これは別次元、未体験のカセットテープの音だ!と思わず心の中で叫んでいました。
まるで、アフリカの大地を悠々と生きる野生動物のしなやかな筋肉と輝く体表を思わせるような、そんな血の通う本物の音を聴いて、心躍りました。それほどまでに、表現力の高いこと。これにも驚かされました。
初日最初のプログラムでは、MUSIC AWARD JAPAN実行委員会の野村逹矢委員長、稲葉豊副委員長をお迎えして、5月に京都で第1回が開催されたこのアワードの目的、開催にいたる背景、目指す姿などをお話しいただきました。このアワードの設立記念パーティが今年1月に開催されましたが、私も出席させていただき、石破総理大臣、都倉俊一文化庁長官のご挨拶をお聞きしました。音楽業界の主要5団体が連携し、カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)が設立され、日本の音楽、特にJ-POPを世界に発信する国内最大規模の新しい国際音楽賞に、国を挙げて力を入れておられることがよく分かりました。
今後も、日本の音楽(ソフト)とオーディオ(ハード)の両輪をバランスよく発展させていくことに、オーディオ協会は貢献し続けたいと思います。