2026winter

21世紀の四半世紀という節目を越えて

一般社団法人日本オーディオ協会 会長
 小川理子

2026年、新しい1年がスタートしました。この度21世紀の四半世紀という節目を越えて、次なる四半世紀のスタートとして、私自身は何か今までとは違う気持ちで年始を過ごしました。

さて、昨年12月の「音の日」では、電子楽器の開発および普及に貢献された皆様を、「音の匠」として顕彰させていただきました。ローランドの菊本忠男様、ヤマハの中田卓也様、コルグの三枝文夫様に勢ぞろいしていただき、加えて、元カシオペアの向谷実様にもご登壇いただき、5人で対談をさせていただきましたが、久しぶりに「音楽と音とオーディオ」の深みにはまって、時間を忘れ、我を忘れて面白いトークを展開させていただきました。皆様方からも、面白かったという感想を多々頂戴しました。

私自身が初めて電子楽器に触れたのは、小学生のときにエレクトーンを従姉の家で弾かせてもらった時です。それまでは、ピアノとオルガンしか鍵盤楽器を知らない私にとって、一つの楽器で、いろんな音が出せる、リズムも出せる、おまけに足でペダルを踏めばベースの音が出せる、何と楽しい楽器なのか!!!と感動したことを覚えています。ピアノからエレクトーンに転向しようかとも思ったくらいです。

そして大学時代に、コルグのポリフォニックシンセを友人に借りたり、ヤマハのDX7をお小遣いで買ったりして遊んでいましたが、面白いことに、シンセを前にすると、作曲のアイデアがどんどんと湧いて出てくることに気づきました。ピアノよりシンセの方が私にはクリエイティブシンキングができるように思いました。大学の文化祭では、ショルダーシンセでプログレッシブ・ロックを演奏したり、卒業の頃には、研究室の演劇研究会の同級生と一緒にとてもシュールな演劇音楽を制作して、発表したりしていました。それほど、あの頃の電子楽器が若者にもたらした影響は大きかったのだと、今回改めて感じました。

今年のキーワードは「フィジカルAI」だと言われています。すでにAIが作曲した曲がトップ10にランクインするとか、AIが映画を製作するとか、プロが見分けもできないくらいのレベルでAIがクリエイティブな仕事をする、と言われています。そのAIにフィジカルな要素が組み合わさり、人類と共生する社会がやってきています。そのとき人はどういう生き方をしているのか、興味があるところです。今年の目標はフィジカルAIにできない企画を立ててみようと思いますが、私の中では、真実を感じ、あたたかな愛を感じ、人として感動することが企画の目標です。また、お正月に「箱根駅伝」をテレビで観戦するのが家族の恒例なのですが、毎年学生が新記録を出すことに感動と驚きがあります。この箱根の山登りをロボットにさせないことこそが、感動の源泉なのです。

日本オーディオ協会もここ数年、様々な挑戦を続けております。OTOTENもさらなる進化を目指して、多くの世代が感動することを目標に企画中です。人として未知なることへの進化を止めずに力を尽くす、こういう姿勢を持ち続けて、さらなる発展をしてまいります。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。