2021autumn

今すぐに楽しめるバイノーラル音楽作品と高音質バイノーラル技術「HPL」

株式会社アコースティックフィールド代表取締役久保 二朗

概要

Apple Musicの空間オーディオやSONY 360 Reality Audioなどの登場で、ようやくバイノーラルで音楽を制作することの必要性と需要が高まってきました。しかし、そうしたフォーマットを使用せずとも、より質の高い立体音場の音楽作品や映像作品は実は制作されて来ており、大変手軽に楽しむことができます。それらの作品と共に、その制作に使用されているバイノーラル技術「HPL」を紹介します。

ABSTRACT

With the advent of Apple Music’s Spatial Audio and SONY 360 Reality Audio, the need and demand for binaural music has finally increased. However, even without using such a format, music works and video works with higher quality 3D sound fields have actually been produced and can be enjoyed very easily. Introducing the binaural technology “HPL” used in the production along with those works.

1. はじめに

5.1chサラウンドを初めて聴いたのはいつでしょうか?私は恐らく30年は前のはずです。現在、サラウンドサウンドを聴いたことのある人は、どのくらいいるのでしょう?映画館に行ったことがあるなら、おのずとサラウンドサウンドに触れている確立は高いと思います。映画以外はどうでしょうか?サラウンドを聴かせてくれる場所がない、家庭でスピーカーをたくさん置けない、など。サラウンドが特別なものと思っている人も多いはずです。いえ、ほとんどの人がそう思っているのかも知れません。最近では高さ方向にもスピーカーが配置された7.1.2chや、NHKのスーパーハイビジョン放送8kフォーマットのための22.2chといったサラウンドも登場しました。

しかし、そうしたマルチチャンネルスピーカー再生だけがサラウンドではありません。
サラウンドサウンド=包み込まれるサウンドです。よってヘッドホンも立派なサラウンド再生機器です。しかも、ヘッドホンサラウンドは、上記を含むあらゆるchフォーマットを全て1つのヘッドホンやイヤホンで再生することができます。スピーカー再生では、フォーマットごとにスピーカー数や配置を変更しないと再生できません。それと比較してヘッドホンサラウンド再生はとても柔軟であり、生活環境に溶け込みやすいという特徴があります。通勤ラッシュの電車内でさえも、作品の音空間へと変容させます。それだけの柔軟性があるので、ぜひ音質やサラウンド表現といった面で、より良いものであってほしい。それが実現されれば、音楽体験は飛躍的に発展します。

2. HPL

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Apple Musicの空間オーディオやSONY 360 Reality Audioなどの登場で、サラウンド作品を体験できる環境は加速的に多くなりつつありますが、まだ成熟したコンテンツは少ないと思います。また、対応したハードウェアを購入する必要があるなど、興味を持ち投資した上で聴こうとしなければ体験できない状況は昔と変わりません。私がデザインしたHPL®(HeadPhone Listeningからとった)は、リスナーの音楽体験を拡張する目的でサラウンドの普及を目指し、音楽再生にも十分なクオリティを持ったバイノーラル技術として設計しました。

あらかじめバイノーラル化した音声をリスナーに届けるため、リスナーが特定のヘッドホンやイヤホンを購入したり、コンピュータやソフトウェアを購入したりする必要はありません。普段使用しているヘッドホンやイヤホンで、普段通りに音楽を聴こうとすれば、それだけで新しい音楽が体験できます。バイノーラルでよく語られる、HRTFを個人に適応させるといった面倒で敷居をあげるだけの普及の妨げとなる問題が一切無いバイノーラルプロセッシング技術です。また、バイノーラル音声といってもヘッドホン再生だけでなく、スピーカーで聴くことも考慮して設計されているので、スピーカー再生も違和感なく楽しめます。

これらは聴く際の話だけでなく、制作時にも当てはまります。HPLプロセッシングが行えるソフトウェアかハードウェアを購入するだけですぐに制作を開始でき、従来の方法でミックスを行ったそのマスターからヘッドホン用にバイノーラル変換するか、あるいは初めからヘッドホンでモニターしスピーカー配置にとらわれない自由な立体空間を創造するか。制作者の手を離れリスナーの手元でバイノーラル変換が施される技術と違い、ミキシングエンジニアが責任を持って制作したサウンドそのものをリスナーへ届けることができます。

バイノーラル音源は通常の2ch音声ですので、製品を購入すること以外で特別な設備投資も無く、専用のフォーマットへのエンコードといった制約も無いので、既に完成されたサラウンド作品のミックスをしなおしたり、妙なアップミックスツールを使うことなくヘッドホンで楽しめるサラウンド作品が制作できます。製品購入以外のライセンス契約も無いので、低予算で高品質な作品が作れるわけです。

2014年12月、5枚のアルバムがHPL音源としてリリースされたのをきっかけに、その後、立体的な表現と音質との両立がなされた唯一のバイノーラル技術として評価され、クラシック、ジャズのハイレゾ音源制作を中心に、放送、配信、メディアアート作品等で採用されてきました。2019年には優れたエンジニアリングがなされた作品に贈られる日本プロ音楽録音賞(主催: 日本オーディオ協会、日本音楽スタジオ協会、日本レコーディングエンジニア協会、日本レコード協会、演奏家権利処理合同機構MPN)のハイレゾリュージョン部門「クラシック、ジャズ、フュージョン」で、優秀賞を22.2chの音楽作品「Lenna」細井美裕が受賞。この作品はHPLを使いヘッドホンモニタリングで22.2chのミックスが行われた意欲作です。それまでサラウンドに対応したスタジオでないとできなかったサラウンド制作を、簡単に低コストで誰でも制作できるものに変えたとし、サラウンド制作に一石を投じる結果となっています。2021年にはメディアアートの最先端コンペティションであるPrix Ars ElectronicaのDigital Musics & Sound Art部門において「聴象発景 in Rittor Base – HPL ver」evalaが栄誉賞を受賞。こうした数々の受賞からもそのバイノーラルの性能の高さが実証されています。

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HPL音源の音楽作品 hpl-musicsource.com

ここでその「HPL」の技術を解説します。

2chステレオから22.2chサラウンドといったあらゆるサウンドフォーマットをヘッドホン&イヤホンで体験することができる、特に音楽再生を考慮し設計された高音質バイノーラルプロセッシング技術がHPLです。従来の演出的なバイノーラルとは異なり、スタジオにおいてスピーカーモニタリングにより整えられたサウンド(=作品)を、できる限りそのままリスナーの耳へ届けることを目的とし、色付けや音色変化を生むような信号処理を行わないことで高品位なバイノーラルサウンドを生み出しています。

技術的にはIR(インパルスレスポンス)の畳み込み処理による極めてスタンダードなバイノーラルプロセッシングによるバーチャルスピーカー生成であり、実装するIRのデザインのみで高音質かつ効果の高いバイノーラルサウンドを実現しています。

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【図①】 2スピーカーのミックスバランス例

スタジオにおいて、2chステレオ音源は、前方に左右30度ずつ開いて設置されたスピーカーでモニタリングしミックスされます。その状態での再生が、エンジニアの意図した最も気持ちの良いサウンドとなります。

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【図②】 ヘッドホン再生をスピーカー配置に例えると

ところがヘッドホンでのリスニングは、それをスピーカー配置に例えるなら、頭の真横にスピーカーを立てて聴いている状態になります。そんなスピーカー設置をする人はいないと思いますが、もしその様に設置したなら、中抜けして極端にワイドな音場となりせっかくのミックスが台無しです。これまでヘッドホンやイヤホンではそうした音を聴いてきたわけです。それをヘッドホンの中でも前方左右30度が発音源となるようにバイノーラル技術を使って整えます。

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【図③】 HPLが目指すヘッドホン再生

通常のバイノーラル技術によるバーチャルスピーカーシミュレーションと同様に、左スピーカーから左耳までのIR、左スピーカーから右耳までのIR、右スピーカーから右耳までのIR、右スピーカーから左耳までのIRを左右の音源に対し図のように畳み込むことで実現します。

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【図④】 バイノーラルプロセッシング

HPLと他のバイノーラル技術との違いはIRの設計のみです。HPLを設計するに当たっては、音が良いだけでなく使えるバイノーラルサウンドの実現を考えました。

まず、そのことを実空間のサウンドに置き換えて考えてみます。実空間での良いサウンドは、良い部屋+良い音源によって生まれます。良い部屋、つまり音響特性が整い、余計な響きが無くかつ抜けの良いサウンドが得られる部屋があり、そこで良い音が発せられることでリスナーに良いサウンドとして届くわけです。聴く人によってどのように聴こえているか、他人が知ることはできませんが、良い音は大抵誰が聴いても良いと感じるか、少なくとも悪いと判断する人はいません。

よくバイノーラルサウンドの改善にHRTFの個人適応が挙げられますが、上記の様にサウンドの要素は別にあるのでHRTFを変えても本質の改善にはなりません。映像で例えるなら、画質の悪いディスプレイに映像を写し、眼鏡を変えることで画質が良くなった悪くなったと言っているようなものです。

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【図⑤】 直接音・間接音・HRTFの関係

HPLではまず、この良い音源(直接音)と良い部屋(間接音)を作ることを徹底しました。それにより、誰が聴いても悪いと判断されることのないサウンドを作ることができました。同時に空間表現や前後左右上下、そして遠近の定位感を調整し最適なバイノーラルプロセッシングを実現しています。この様にHRTFの影響を考慮せずにサウンドメイクをしているので、HRTFの個人適応を問題にする必要がそもそも無いのです。良い部屋で良い音を鳴らすことができていないのに、先に個人適応の話をしているのが、HPL以外のバイノーラルプロセッシングに見られる現状です。

さて、そうしたHPLのサラウンド作品を鑑賞するにはどうしたらよいのか、その方法を紹介します。

①HPL化された音源を購入する

その音源がサブスクリプションでリリースされていれば検索するだけです。

②放送を観る

まだ本数は少ないですが、これまでにHPLで制作された番組が放送された経緯があります。

③配信を観る

配信によるライブ中継が増えたことにより、バイノーラルの配信は非常に増えています。現在もっとも多くサラウンドを体験できるコンテンツが配信です。

④サラウンドを体験しに行く

これはHPLによるヘッドホンでの体験とは限りませんが、音に包まれる体験として是非味わっていただきたいので加えます。ライブやコンサートがサラウンドで行われることもありますが、音体験として最も完成度の高いサラウンド、つまり立体音響を体験できるのがサウンドインスタレーションです。言葉では言い表せない音の体験をすることができます。

この様に大きく4つに分けてみました。一つずつ解説して行きます。

①HPL化された音源を購入する

HPLを発表し、まず始まったのがHPL音源制作です。それまでサラウンドの音楽作品は作られてはきましたが、聴く環境が普及していないことから数が少なく、“聴く人がいないのに制作する”ための贅沢な予算組みが必要でした。それでも熱意あるエンジニアの皆様によって、絶えることなく現在に受け継がれています。大変感謝すべきことです。

そこへ音楽に特化したHPLの発表があり、スピーカーで再生される現物ではないけれどもサラウンドを聴いてもらえる環境が整い、ハイトチャンネルが加わったイマーシブオーディオの登場も相まって、それまでのサラウンドミックスと、ダウンミックスされた2chの制作に加え、バイノーラル化されたHPL音源がリリースされるようになりました。その多くはクラシックやジャズのハイレゾ作品です。ハイレゾ音源を販売するサイトで“HPL”と検索するとそうした作品に出会えます。

特にUNAMASレーベルの「大賀ホールシリーズ」は、2014年から2019年まで毎年制作され、日本プロ音楽録音賞を受賞しています。この作品は、スピーカー再生用として2chと5.1chがリリースされており、5.1.4chや7.1.4chといったイマーシブオーディオのミックスがなされたマスターは、HPLでバイノーラル化された音源としてのみ発売されています。

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【写真①】 The Four Seasons – Antonio Vivaldi【HPL5】 / UNAMAS

そして先に述べた様に、2019年にはスピーカーを使わずにHPLによるバイノーラルモニタリングで制作された22.2chの音楽作品「Lenna」細井美裕がリリースされます。この「Lenna」はアルバム「Orb」の6曲目に「Lenna(HPL22 Ver.)」としてHPL音源が収録されています。

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【写真②】 Orb / Miyu Hosoi

2020年に制作されたArs Electronica受賞の「聴象発景 in Rittor Base – HPL ver / evala」は、フィールド録音素材と電子音とを溶け合わせた、まさにイマーシブな作品となっています。空間の作曲において世界で右に出る者がいないと言われるアーティストのバイノーラル作品は、これからの立体音響の指標となります。

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【写真③】 聴象発景 in Rittor Base – HPL ver / evala

「冨田勲 源氏物語幻想交響絵巻 Orchestra recording version」は、Blu-rayディスクに、2ch、5.1ch、Dolby Atmos、Auro-3Dが収録され、CDに7.1.4chサラウンドをHPL化したバイノーラルがMQAエンコードで収録されている意欲的なサラウンド作品として今年発売されました。
HPL版は気軽に7.1.4chサラウンドをヘッドホンで体験でき、かつMQA対応機器をお持ちであればなんと192kHzでそのサラウンドを楽しめてしまいます。

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【写真④】 冨田勲・源氏物語幻想交響絵巻 Orchestra recording version / 藤岡幸夫 指揮・関西フィルハーモニー管弦楽団

②放送を観る

テレビやラジオの放送では、HPLを使った番組制作がいち早く行われてきました。2019年12月WOWOW制作による、「第17回 ヴァチカン国際音楽祭 ~3Dオーディオ HPL版~」は、13.1ch (7.1.5.1) の192kHz 24bitで制作されたマスター音源がHPL化され、テレビ放送で初めて主音声にて放送されました。(副音声は通常ステレオ)

主音声でHPL音声が放送されるということは、その放送がテレビのスピーカーで再生されるとしても、モノラルで再生されることとなっても問題なしとの判断がされたことを意味します。この放送は後にMQAエンコードされ、MQAの英国サイトにアーカイブされていますので、ぜひご視聴ください。

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【図⑥】 一般的なHPL音声の番組制作

翌年2020年には同じくWOWOWで「熱海海上花火大会2020~3Dオーディオ HPL版~」が放送されています。中京テレビ放送では、2019年から先日生配信された「THE ICE」まで、多数の番組がHPLで制作されています。8KVR+22.2chの番組制作にも取り組まれており、その再生手段としてHPLが用いられています。ラジオ放送ではニッポン放送がプロ野球中継をイマーシブサラウンドミックスからのHPLバイノーラルで制作しており、プロ野球開幕3連戦や日本シリーズなどがバイノーラルで生放送されました。

今後そうした番組が増える傾向にありますので期待しています。

③配信を観る

配信は現在最も多くバイノーラルコンテンツが制作されているメディアだと思います。HPLはその特長を活かした音楽ライブ配信で利用されています。

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下記の作品リストでリンクのあるものはご試聴いただけます。ヘッドホンあるいはイヤホンでお楽しみください。

この1年間でHPLによりバイノーラル配信されたライブはこれだけあり、さらにリットーミュージックの多目的スペースRITTOR BASEは、常時HPLによる配信が行われ上質な音楽ライブを隔月で配信しています。

こうした立体音響制作を支えるために、HPLバイノーラルプロセッシングを搭載したソフトウェアNovoNotes 3DXとHPL2 Processor、そしてハードウェアのRA-6010-HPLが開発され販売されました。

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【写真⑤】 NovoNotes 3DX

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【写真⑥】 NovoNotes HPL2 Processor

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【写真⑦】 Airfolc RA-6010-HPL

こうした製品によりバイノーラル制作が容易に可能となり、現在ではHPLと表記のない作品も多く公開されています。こちらの作品リストもリンクのあるものはご試聴いただけます。ヘッドホンあるいはイヤホンでお楽しみください。

④サラウンドを体験しに行く

今年の夏はいくつかのサラウンド作品が公開されました。残念ながら全て終了しており読者の皆様にご体験いただくことができません。特に70分間暗闇で音だけの体験となる映画、インビジブル・シネマ「Sea, See, She – まだ見ぬ君へ」evalaは、従来の映画のサラウンドとは別次元の音体験であり体験していただきたかったです。

しかし、幸運にもお薦めのサウンドインスタレーション作品がこの秋に公開されます。

《Lenna》細井美裕
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で開催されるメディアアートの展覧会「オープン・スペース 2021 ニュー・フラットランド」に展示される作品です。

HPL音源としてリリースされたLennaは、22.2chの音楽をヘッドホンで楽しむことができますが、この展示はそのLennaをICCの無響室に2つのスピーカーだけで生成し、その空間を体験する作品となります。インスタレーションは、展示するその環境からシステム構築に至るまで、作品のために作り込みますので、最も質の高い音体験が完成します。

ヘッドホンで聴くLennaとスピーカーで聴くLennaの体験はどう違うのでしょうか?そのサウンドは、ホームオーディオやカーオーディオなど、2スピーカー再生で実現する立体音響空間の可能性を示唆しています。

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【写真⑧】 Lenna / 細井美裕
撮影:木奥恵三
写真提供:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

3. まとめ

このようにHPLのバイノーラル作品は日常的に触れられる音楽体験を目指しています。Apple Musicの空間オーディオは、Dolby Atmosのフォーマットで納品し、それが自動的にヘッドホンでのバイノーラル体験へとデコードされます。しかし、Apple Musicでバイノーラル音源を体験できるのは、そうした空間オーディオだけではありません。先のLennaや聴象発景もApple MusicやAmazon Musicで体験できます。空間オーディオのための制作を行った音源だけでなく、そもそもバイノーラル音源として制作された作品は普通に誰でもどんなヘッドホンやイヤホンでも楽しめるわけです。

また、Dolby Atmosも360 Reality Audioも納品フォーマットが異なるだけで、立体音場を表現するための制作方法は変わりません。それはHPLも同じです。今後そうした技術を用いた作品が多く作られ、エンジニアがサラウンドミックスに慣れてくれば、おのずと良い作品が増え新たな音楽体験がより身近に訪れるはずです。楽しみにしたいと思います。

執筆者プロフィール

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久保 二朗(くぼ じろう)株式会社アコースティックフィールド 代表取締役
2007年、株式会社アコースティックフィールドを設立。立体音響を中心とする多くの特殊音響システム開発やコンサルティングを行い、その豊富な経験を軸に、サウンドアーティストの立体音響による音楽制作やインスタレーションを技術面からサポートしている。2014年、ヘッドホンおよびイヤホンでの音楽リスニングに特化した高音質バイノーラルプロセッシング技術「HPL」を発表。