良い音と好きな音

これからカーオーディオの音について解説していきます。
その前に、皆さんは音に対して、どんなイメージをお持ちでしょうか? どういう音を良い音と感じますか? こういう会話をしますと、いわゆる十人十色であり、どうも良い音というものと、好きな音というものとは、別に考えた方がいいと思われます。

ここでは、あなたのカーオーディオをより良い音、あるいは好きな音にしていくために、どんなことを気にしたらよいか? を説明していきます。

以下の順に説明していきます。

良い音と好きな音

「良い音」とは、少し専門的な言い方をしますと、広帯域に渡ってフラットレスポンスであり、低歪み、過渡応答がよいなどの物理的な評価が優れているということになります。これらは少し難しい話になるので、個々の説明は省きますが、これらの特性評価において高得点を得られている音は、多くの人にとって確かに「良い音」と感じられるようです。

また、このような「良い音」が出せる製品、すなわちスペックがよい製品には、それを実現するための物量が投入されており、概して価格が高いですが、所有する喜びをしっかりと感じさせてくれるのではないでしょうか。

音に対してこだわりがないとか、音について分からないと言う方は残念ながら非常に多いです。しかしながら、そういう方々に先ほど述べた「良い音」を聴いてもらうと、大変饒舌に感じたことを語り始めたりします。逆に、「良い音」から外れるような音が好きだという人は、非常に少ない様に思います。なので、まずは満足できる良い音を確保したうえで、好みの音に仕上げていくという順に準備をしていくことをお勧めします。好きな音は、個人によって大きな差があり、よく聴く音楽ジャンルや製品に対する期待値、その日の気分などによって異なってきます。

好きな音の空間

さて、カーオーディオに限ると、クルマの中は狭い空間であるため、比較的小規模なオーディオシステムでも大きな音を楽しむことができます。また、クルマにはスピーカーを設置してある箇所がリスナーを取り囲む様な状態にあり、音に包まれる設定も可能です。これらの好条件を活かさない手はありません。

音に包まれる、大音量で音に浸る体験の場としては、クラブやライブハウスといったものがあります。皆さんも一度は足を運ばれたこともあるかもしれません。これらの空間は、どこも同じ音がするわけではなく、DJ中心のところもあれば、本格的に音楽ライブを行うところもあり、ジャズクラブの静かな空間でグラスを傾ける雰囲気など、会場ごとに音作りに関して独自の考えがあり、随分と音の傾向が異なります。

皆さんは、どんな会場がお好みでしょうか? そしてクルマでは、どんな音に浸りたいですか? 家で大きな音を出したり、特に低音に浸ったりするのは防音面などでかなり無理がありますから、せっかくなのでクルマでは心地よく豊かな低音に浸りたいものです。その上でしっかりとした帯域バランスと明確な音像定位、あるいは包み込まれるような音場を実現していくのがよいと思います。

では、好みの空間にしていくために、どうやって音の調整をしていくのか、エッセンスを述べていきます。それぞれの調整の詳細については、カーオーディオの調整について(前編)カーオーディオの調整について(後編)でご説明します。

まず簡単に雰囲気を変えようと思ったら、設定の中のプリセットイコライザーで好みの空間を探ってみてください。もっとすっきりした音が好きということなら、トーンコントロールやグラフィックイコライザーで高音部を上げてみてください。逆に力強さが足りないと思ったら、低音部を上げてみて下さい。好みの音の周波数バランスに近づけることができます。クルマにサブウーファーが付いているのなら、サブウーファーのレベルをひょいと上げてみましょう。下から突き上げるような力強い低音が響いてきて、まさにクラブに居るような感じになってきます。

また、クルマには前後にスピーカーが設置されており、音を前方に定位させることも、音に包みこまれるように調整することも可能です。簡単に設定する方法としては、ポジション・セレクターで運転席や全席などの指定をしてみてください。もう少し詳細に調整したい場合は、バランス・フェーダーで調整します。

まとめ

カーオーディオは、いろいろと触ってみて、自分に合った音を探してみることに楽しみがあります。曲によって空間の作り込みを変えてみるのもいいでしょう。少々変な調整になっても簡単に元に戻すことが出来ますから、心配することなく、気にせずにどんどん触ってみましょう!

きっと新たな発見があります。