第21回・2016年の「音の匠」
トーマス・エジソンがフォノグラフを発明した1877年12月6日にちなみ、1994年に日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会等と共に「音の日」を制定しました。当協会では、「音の日」に音を通じて文化や生活に貢献した方を「音の匠」として顕彰してまいりました。
第21回目にあたる本年度は、長年にわたる「音叉製作」の研究を通し、音楽業界は勿論のこと医療機器業界等への「音叉」の広範な応用を提案され、その高精度化と多用途化に向け大いなる努力と洞察を深められた、株式会社ニチオン相談役・日本音叉研究所所長の本田 泰(ほんだ ゆたか)氏を「音の匠」として顕彰いたしました。「音の匠」顕彰式と講演会は、12月6日(火)、目黒雅叙園にて開催されました。顕彰式は日本オーディオ協会 校條 会長の挨拶に始まり、続いて校條会長より、表彰状、盾が、池田 理事から副賞が本田氏に贈られ、さらに電波新聞社 平山 社長様より恒例の電波新聞社賞が贈られました。
顕彰式の様子
左から、電波聞社 平井 社長、池田 理事、
「音の匠」本田 泰氏、校條 会長
顕彰式のあと、本田 泰氏による「音の匠」顕彰記念特別講演会「音叉と音叉に関わる「音」の話」が行われました。音楽用音叉や医療用音叉等、さまざまな音叉の説明や製作の苦労話、ご自身の生い立ち、創業から今日に至るニチオン様の発展の様子などを、ユーモアを交えて話されました。
講演中の本田氏
受賞者プロフィール 「音の匠」本田 泰氏
- 略歴
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昭和 7年 荒川区日暮里にて将隆の次男として生まれる 昭和31年 株式会社日音理科器械製作所へ入社 昭和41年 専務取締役に就任 平成 元年 社長就任 平成13年 本田宏社長就任に伴い相談役となる。 平成15年 長年の医療用機械器具製造販売業の発展に尽力し、その功績が認められ、黄綬褒章を受章 現在も引き続き第一線で、音叉の最終調音と後進の指導を行っている。
業績概要
輸入に頼ってきた医学用音叉の国産化に成功
それまでは音叉と言えばドイツに代表される輸入モノしかない時代に、鉄に特定の温度で焼き入れをすることによる国産化に成功した。特に材料においてもS45Cの炭素鋼が最も適切であることを突き止めるなど輸入モノと対抗できる国産音叉の製作技術を生み出した。
原器音叉の製作と世界最高の高精度化に成功
良質な音叉を量産するには調製用の原器が必要であることは言うまでもない。恒温(昔は15度C、現在は20度C)での±0.05Hzという超精密音叉の試作に成功し、これを原器に、量産でも±0.1Hzという高精度の生産に成功している。このレベルは「ニチオン」のブランドに恥じない精密音叉として世界中から信頼されている。
現在も音叉の多用途開発に自ら挑戦
音叉と言えば「音楽用途」と考えがちである。最大市場は「医療用途」であると言われているが飽くなき「用途開発」に現在も自ら携わっている。最近では「ヒーリング用途」、「アクセサリー用途」、「マッサージ用途」等広範な商品化に取り組んでいる。
音叉研究への情熱と実践へのたゆまない努力
今日においても、最終工程での「調音・調整」は自らが携わることと、後進への指導を怠らず、音叉の研究に於いては「日本音叉研究所・所長」として現在もその情熱は衰えを知らない。
黄綬褒章授与される
平成15年度にこれまでの業績が評価され「黄綬褒章」を授与された。
主なTVなどへ出演
- 2012年8月17日<仕事師の普段力>:BS・FUJI
- 2015年12月17日<和風総本家>:TV・東京