第1回・1996年の音の匠

初回の「音の匠」は、JR(日本旅客鉄道株式会社)から選定した。これは、日本オーディオ協会を創立した時に、中島健蔵氏(初代会長)と井深大氏(第二代会長)が、当時の国鉄駅構内放送設備(PA:Public Address)の音質が海外の鉄道のそれに追いつくようにとの願いも込めていたというエピソードによるものである。

顕彰者プロフィール(1996年現在)

針谷 照氏(東日本旅客鉄道株式会社 上野保線区施設技術主任)

1964年、東京鉄道管理局上野保線区線路工手として就職以来、30余年の長きにわたり保線を通じて列車の安全運行に貢献してきた。今日では、レールの傷は超音波を利用したレール探傷車で対処しているが、導入以前は小ハンマーによる打音で判定を行っていた。現在でも探傷車の運行がない線路に対しては同様の方法で保線業務を実施している。またレール間をつなぐ継目板のボルト緩みも、ハンマー等による「音響」で発見し、締め直しを行っている。同氏は、この面で優れた技術をもつ第一人者であり、後輩にその技術を指導・伝承にも務めている。

西日本旅客鉄道株式会社 技術開発推進部(代表者 技術開発推進部長 櫻井 紘一氏)

JR西日本の低騒音パンタグラフ

鉄道の高速化が実現され、多くの利便が享受できるようになるいっぽう、環境保全の面では「静かなこと」が要求されます。 ことに超高速新幹線にとって隘路となるのがパンタグラフから発生する騒音です。この問題を解決するために、 同部では4年間にわたる低騒音風洞実験や超指向性マイクによる音源解析等を駆使し低騒音化のための設計・改良を重ね、 翼型の流線型パンタグラフを完成させました。 その結果生まれた従来の常識を覆フの実用化により、環境基準の極めて厳しいわが国にあって、 世界最高レベルの時速300キロながら生活環境を守る低騒音す低騒音翼型パンタグラの新幹線運行を可能にしました。