第3回・1998年の音の匠

第3回 音の匠を紹介します
音を通じて社会あるいは文化に貢献されている団体あるいは個人を「音の匠」として顕彰し、 音の重要性を広く認識してもらおうというのがその趣旨です。 今回はその第3回目にあたり、音の日実行委員会(委員長:鹿井信雄協会副会長)では “水”をキーワードに各方面からの「音の匠」の候補を考察しましたが、 今回はわが国で初めてグラスハープを製作した佐々木硝子株式会社および、 グラスハープの誕生に際して各種のアドバイスを行った演奏家の高橋美智子氏を「音の匠」として表彰しました。

高橋 美智子 氏

氏はマリンバ奏者として知られますが、東京芸術大学を卒業後1973年オランダ・ガウデアムス国際現代音楽 コンクールで日本人としてはじめて第一位を獲得。同時に国際現代音楽賞を受賞しています。 1981年の佐々木信次氏との出会いから、日本人初のグラスハープ奏者として演奏法を開拓し CD「クリスタル・グラスハープ」で高い評価を得ましたがその他にキングレコードから 「グラスハープモーツァルト(KICC-118)」をリリースしているほか、新しいものでは「鳥の歌」 (ソニーミュージックSRCR1765)でもグラスハープおよびマリンバの音と演奏を聴くことができます。

佐々木硝子 株式会社

(佐々木硝子社製のグラスハープ)

ガラスメーカーとして知られる同社ですが、クリスタルガラスによる各種の楽器開発に意欲的で、 グラスハープの魅力を伝えるべく、熱心に開発をしたのが幼いときからの無類の音楽好きでもあった 佐々木信次氏を始めとする佐々木硝子陣営。 音階は水を入れて決めるのではなく、グラスの大きさと底部を削る独自の手法で調整するとのことですが、 永年の経験を積んだ名人たちが1年をかけて製作されたとのことです。 ガラスは当然のことですが鉛を含有する、クリスタルガラスが使われ、 形状としてはチューリップ型のいわゆるブランデーグラス状のもので、奏法は指先を水で湿らせてのものです。