第18回・2013年の「音の匠」
トーマス・エジソンがフォノグラフを発明した1877年12月6日にちなみ、1994年に日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会等と共に「音の日」を制定しました。当協会では、「音の日」に音を通じて文化や生活に貢献した方を「音の匠」として顕彰してまいりました。
第18回目にあたる本年度は、“VOCALOID”の開発・応用による「新たな、音楽及び音の表現方法により、新しい文化を創造」されたヤマハ株式会社 事業開発部 yamaha+推進室 VOCALOIDプロジェクトリーダーの剣持 秀紀氏を「音の匠」として顕彰いたしました。
「音の匠」顕彰式と講演会は12月6日(金)午後4時より、東京ガーデンパレス、「天空」にて開催されました。顕彰式は日本オーディオ協会 校條会長の挨拶に始まり、続いて、校條会長より、表彰状、盾、副賞が剣持氏に贈られ、さらに電波新聞社平山社長様より恒例の電波新聞社賞が贈られました。
校條会長の挨拶
授賞式の様子
写真:左から電波新聞社平井社長
「音の匠」剣持 秀紀氏、校條会長
顕彰式のあと、剣持氏による特別講演会「歌声合成技術VOCALOIDと新しい音楽」が行われました。剣持氏の講演は、自己紹介からはじまり、音楽の歴史、そしてVOCALOIDの誕生とその楽しみ方まで、非常に興味あるそしてまた深いお話で、来場された多くの方々から「とても素晴らしかった」、「VOCALOIDに対して改めて興味が沸いた」、「今回出席して良かった」など多くの賛辞が寄せられました。
講演中の剣持氏
多くの方々が参加した特別講演会
受賞者プロフィール 「音の匠」剣持 秀紀氏
剣持 秀紀(けんもち ひでき)
・1967年:静岡県生まれ
・1993年:京都大学大学院工学研究科修士課程修了、同年ヤマハ(株)入社。「アクティブノイズコントロール」の研究開発に携わる
・1996年:ヤマハとベルギー企業との合弁会社 エル・アンド・エイチ・ジャパン(株)に出向。音声合成に関する技術開発に従事。ここで「音声屋」としての素養を積む。
・1999年:ヤマハ(株)に復職
・2000年:VOCALOID開発を開始。以降、VOCALOIDを含む歌声、音声信号処理に関する研究開発を行う。
VOCALOID開発:
・きっかけ:2000年当時、歌声以外の楽器はコンピュータによってある程度の品質で再現できるようになっていたのに対して、歌声はまだそこまで到達しておらず、高品質な歌声合成技術があれば音楽制作に使用可能と考え開発を開始。
・今後の抱負:人間の歌声の再現ももちろん大切だが、VOCALOIDによって新しい音楽的な表現が可能になったという側面もある。今後、その両方の側面を大切にし、開発を行いたい。
趣味:
・ヴァイオリン(ヴィオラ)演奏、アナログレコード鑑賞。