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掲載日:2013/01/09

日本オーディオ協会会長より平成25年新年のご挨拶

“真(まこと)”こそが新たな道を切り開く

一般社団法人 日本オーディオ協会
会長 校條 亮治

みなさま、明けましておめでとうございます。皆様にとって、年始は如何でしたでしょうか。本当に早いもので東日本大震災から二回目の新年を迎えました。まだ仮住まいの方も多くおられ、心からお見舞いを申し上げます。その日の天候は違っても等しく“陽はまた昇る”新たな年が始まりました。

昨年も一昨年に劣らず、多くの出来事がありました。やはり地球上の営みや仕組みが、大きく歪んでいると言わざるを得ません。自然に比べれば、人間の存在など微々たるものですが、その微々たる人間の、尊大で傲慢すぎることへの警告に、目を凝らし、耳を研ぎ澄ます必要があるのではないでしょうか。また私たち自身が生み出した仕組みにさえ、愛想をつかれる今日です。今一度自然への畏怖の念と、本質に立ち帰る必要があるのではないでしょうか。

昨年を振り返ってみると、協会にとっては記念すべき年でありました。第一に、創立60周年、第二に、CD発売後30周年と云うエポックメーキングな年であり、式典開催と共に記念誌と記念CD発行を行い、さらに50周年以降の貢献者への顕彰など記念事業を行いました。一方で、鹿井前会長逝去という悲しい現実もありました。私は60周年を迎えるに際し、過去の歴史を知らずして、現在も今後も語れるはずがないとの気持ちから先輩諸氏の活動の軌跡をたどってみました。60年前の設立趣意、そして活動の軌跡を、目を凝らして見ました。その結果見えたことは、諸先輩方の活動は大いに気を吐き「技術は予想以上に進化。しかし、設立主意は未だ健在である。逆に言えば60年たっても未だ成し得ず。」思わず大横綱であった双葉山の有名な言葉である「未だ木鶏に及ばず」を思い出してしまいました。先輩方の活動に比べれば、私たちの責任は極めて大です。

そこで今年の抱負ですが、“真(まこと)”の追求こそが新たな道を切り開く!と定めました。広辞苑で「真」を引けば「事実の通りであること、嘘でないこと、真実、本当」とあります。また能楽の「真の花」では「鍛練と工夫とを極めて得た真の花の面白さ」と「風姿花伝」が伝えています。今、社会で起きていることは、この反対ばかりではないでしょうか。もうそろそろ偽りの世界は終わりにし、人間たるゆえんである、本質を考えることにより、明日を切り開きたいと思います。

音楽・オーディオの世界においては、とりわけ“本物”こそが、明日を切り開く力であると確信し、進む所存です。私は勿論のこと、皆さまにも「真・まこと」の言葉を新年にあたりお贈りし、新年のご挨拶とさせて頂きます。今年もよろしくお願いいたします。


会長 校條亮治