作品のコンセプトと、どのように考えたのかを聞かせてください。
(作曲担当 道城) 作曲に関しては最初にエンジニアの澁谷の方から立体音響のための曲を作曲して欲しいと声をかけてもらったのですが、どのような曲を書こうかと考えた時に2人とも大きな編成が好きなのと、ファンタジックな世界観が好きということで、オーケストラの編成でここではない非現実的な空間で幻想的な情景が見えてくるような音楽を作曲しようと考えました。
(録音・ミキシング担当 澁谷) 録音やミキシングに関しては、多チャンネル音響作品だからできること、録音だからできること、を意識して作業を行いました。具体的には全て楽器ごとに録音して楽器間での音の被りをなくし、ミキシング時の音の配置の自由度を高めようとしました。
制作のアイディアが⽣まれたきっかけなどがありましたら聞かせてください。
澁谷の立体音響における音像の作り方を考えた時、音に包まれて心地よいイメージだったので、劇的な展開があるよりも心地よい音、美しい穏やかな風景をのんびりと眺めているような、そんな音楽だと相性がいいのではないかと考えました。そのような標題を決めた上で、立体音響であることを活かせるような作曲のアイデアを考えた時、同じメロディーのモチーフが色んな調や楽器で周りから聴こえてきたら面白いのではないかと思いました。作曲に関しては私(道城)に一任されていましたが、できるだけ立体音響という特殊な再生環境や、エンジニアの澁谷の音像を最大限に生かすということを念頭に置きながら作曲のアイデアを考えました。
制作する際に、苦労した点、うまく表現できた点、⼯夫した点などを教えてください。
せっかくなら立体音響で最大限に生かすような曲を作曲しようと思い立ったはいいものの、22.2chになった時に今楽譜上に書いている音たちがどのように鳴るのかを想定しながら書くのにはかなり苦労しました。5.1chは映画館など触れる機会がまだありますが、22.2chは聴く機会がかなり少なかったので、想像で補完しながら作曲する必要があり、中々大変でした。実際に音になった時、今回は想定以上の良い響きが生まれたのでよかったです。
工夫した点はオーケストレーションです。前述したように本曲は大きな展開がある訳ではないですが、よく聴くとコロコロと調が変わっていき、色んな楽器が主旋律を演奏していたりします。しかし穏やかな情景を想起させるために、それらができるだけ滑らかに穏やかに展開されるようにオーケストレーションを工夫しました。
そのほかには楽器そのものの音色というところにもこだわりました。特にピアノは色んな知り合いの奏者がいる中、この音楽を演奏してもらうならあの音色で演奏する人がいい!と思い、わざわざ学外の知人の奏者の方をお呼びしてお願いしました。(道城)
個人的にホルンの音色が大好きなので、ホルンをいかにして全体に響かせるかの工夫をしました。いつかの講義で人間は後方の音像知覚があまり得意ではない、と言う話を聞いたのでそちらを意識してホルンを後方に配置することで、どこから音が来ているのかはっきりと知覚しにくい柔らかな雰囲気を目指しました。
一番苦労した点はフルートとファゴットのバランス取りです。同じ木管楽器でも音の響き方や雰囲気が全然違うので、何度も同じ箇所を再生して耳に聴こえやすさが等しくなるようなバランスをとるのにとても時間を費やしました。最終的に提出した音源も綺麗にバランスが取れていたか正直自信がありません。(澁谷)
作品の聴き所、アピールポイントを教えてください。
冒頭のピアノによる第一主題と、最後にホルンが主題をフォルテで演奏するところです!また、弦オケもセクションとしてまとまりつつも意外と要所要所で各々の旋律が大きく動いているので聴いてもらえると嬉しいです。(道城)
冒頭のフルートとファゴットの掛け合い頑張りました。あと、最後の方のメロディがリレーしているところが結構お気に入りでかなり細かく調整したので聴いていただけたら嬉しいです。(澁谷)
