学生の制作する音楽録音作品コンテスト

第4回 2017年優秀録音技術賞

I’m with you 5.15.1ch 96kHz 24bit


※音源は2chに変換されたものです

McGill University(カナダ)
永田 悠さん

作品について

作品のコンセプトは?思いついたきっかけは?

サラウンド録音の新しい可能性について研究しました。アコースティック録音でのサラウンド録音はサラウンドスピーカーにリバーブやルームマイクを配置するのが一般的ですが、それ以外の可能性を模索しようと考えました。
無指向性のマイクを使ったサラウンドアレイを設置し、それを取り囲む様に楽器を配置して録音しました。
2L Morten Lindeberg氏による講習にインスパイアされ制作したサラウンドのレコーディングです。
サラウンドレコーディングの新しい可能性について模索、研究し、新しいサラウンドミックスを実現したいと考えました。

制作時苦労した点・表現できた点・工夫した点は?

無指向性のマイクの中のドラムの音像はどうしても広くなり過ぎてしまい、その調整に苦労しました。
またアップライトベースの配置に苦慮し、結果サラウンドアレイのみでは音量、音質が足りませんでした。アップライトベースを台にのせるなど、マイクロフォンアレイに近づける必要があったと思います。
ただの空気の振動ではなく音楽空間に包まれるような感覚を実現したいと考えました。あまりリバーブラントな音だと音楽空間に包まれるというコンセプトと乖離するため、舞台上の楽器を取り囲むように吸音材を設置しました。

作品の聴き所・アピールポイントは?

サラウンドにおいてのスイートスポットで音像を楽しんでいただきたいです。またスピーカーに近づいて一つ一つの音を聴いて見るとまた違った側面が見えてくると思います。

コンテスト参加ついて

受賞の感想をお願いします!

授賞式に参加できなかったのがとても残念ですが、とてもうれしかったです!

参加のきっかけは?

学生のうちしかできない、おもしろい研究をしたいと考えていました。その録音を発表する場所がないかと考えていたところ、機会をいただき応募しました。

制作時のエピソードはありますか?

最初のミックスをクラスで見せたところ、LSRSに定位させたドラムの音像が大き過ぎてハイハットとライドを別々の2人の人間が演奏してるんじゃないかと言われました。

参加してみて良かったことは?

新しいことを自らの意思でやってみること、それを発表することの大切さを感じました。

音楽制作をしてみて、音楽の聴き方は変わりましたか?

音楽、録音作品を聴いた時、どのように感動をもたらしているのかを分析ながら鑑賞しています。また、スピーカーやセッティングが最高の状態で聴くのではなく、いろいろな状況、場所や位置で聴きながら分析をするのが楽しいと感じます。

現役学生へコンテスト参加へのメッセージ・アドバイスをお願いします!

新しいことを自らの意思でやってみること、それを発表することが大切だと思います。同年代の学生たちがどのような録音をしているのか知るのも、とても刺激になります。
学生のうちしかできない、エキセントリックな研究や録音を勇気を持って発表をしてもらいたいです!